金正恩氏「絶対核放棄しない」を行動で誇示 日米韓を牽制 ICBM発射や核実験も近いか

9月8日、平壌で北朝鮮の建国74年祝賀行事に参加し手を振る金正恩朝鮮労働党総書記(朝鮮中央通信=共同)
9月8日、平壌で北朝鮮の建国74年祝賀行事に参加し手を振る金正恩朝鮮労働党総書記(朝鮮中央通信=共同)

【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮が約5年ぶりに日本上空を通過させる形の弾道ミサイル発射を強行した。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が9月の施政演説で表明した「絶対に核を放棄できない」との立場を行動で誇示したといえる。北朝鮮は対北安全保障協力を強める日米韓への牽制(けんせい)を狙って、さらに大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射や7回目の核実験に踏み切る可能性もある。

金氏は9月8日、最高人民会議で核兵器の使用条件などを定めた法令を採択させるとともに、施政演説で法令採択によって「核保有国としてのわが国の地位が不可逆的なものになった」と主張した。米国が北朝鮮を非核化させることで北朝鮮政権の崩壊を狙っているとの強い猜疑(さいぎ)心も示した。

金氏は8月に新型コロナウイルスとの闘いに「勝利した」と宣言しており、軍備増強に一層国力を注ぐ環境が整ったとの判断も背景にありそうだ。国連安全保障理事会がロシアのウクライナ侵略などによる常任理事国間の対立で機能不全に陥っている現状も好機とみなした可能性がある。

北朝鮮は9月25日~10月1日に4回という異例の頻度で短距離弾道ミサイルを発射。米韓が日本海で米原子力空母を投入した合同演習中にも発射を強行しており、過去に例がないほど、米韓への対決姿勢を鮮明にしている。北朝鮮が日本上空越えのミサイル発射やICBMの発射、6度目の核実験を重ねた2017年当時よりも軍事的挑発を強めていく事態も想定される。

韓国の情報機関は、北朝鮮が今月16日に開幕する中国共産党大会以降、11月8日の米中間選挙までの間に7回目の核実験に踏み切る恐れがあるとみて警戒を強めている。

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は4日、記者団に対し、北朝鮮のこうした軍事的挑発が「わが軍をはじめ同盟国や国際社会の決然とした対応に直面する」と警告した。

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