電力負担の緩和に課題山積 節電ポイントとの調整不可欠

岸田文雄首相は3日の所信表明演説で、資源価格の高騰に伴い上昇した電気料金の負担軽減策を早期に実現する考えを強調した。だが、具体化には財源や制度設計の面で多くの課題が想定される。今冬の電力需給逼迫対策と負担軽減策として8月に導入が決まった節電ポイントも、節電量に応じた上乗せ分などの詳細は固まっておらず、新制度との調整も必要になる。

「電気料金負担の増加を直接的に緩和する、前例のない、思い切った対策を講じる」。首相は物価高対策にこう意欲を示した。

経済産業省によると、電気料金の月別平均単価は、直近1年間で家庭向けが約20%、企業など産業向けは約30%上昇した。ウクライナ危機で火力発電の燃料となる液化天然ガス(LNG)価格が高騰。為替相場の円安傾向も響き、調達コストが膨らんでいる。

電気料金は、すでに値上げの上限に達した大手電力10社の家庭向け規制料金以外は、今後も値上げが続く可能性が高い。規制料金も大手の一部が、経産省の認可が必要な抜本的な値上げの検討を始めており、政府が検討する電気料金の負担軽減策への期待は大きい。

しかし、軽減措置を実施する上での課題は多い。まずは財源の問題だ。令和3年度の国内電力販売の総額は約14兆円。1割を補助するとしても年約1兆4千億円の財源が必要となる。

また、電力小売り会社は約700社あり、料金プランはさまざまだ。「補助金などで一律に料金を軽減するのは難しい」(大手電力関係者)との声も上がる。

1月開始のガソリン補助金は拡充後、国際的な燃料価格高騰や円安の影響が続き、終了時期を示せないまま、年末までに3兆円規模の国費投入が決まった。電気料金の負担軽減策も制度設計次第では、施策を終了できずに財源が膨らみ続ける恐れがある。

今冬の電力需給対策と負担軽減策では、電力小売り各社のキャンペーン参加を促す節電ポイント制度もある。詳細は固まっていないが、負担軽減策を重視しすぎれば、需給対策の節電要請に逆行するとの懸念も出そうだ。(永田岳彦)

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