規制厳格化で岐路 日本の空調メーカー開発急ぐ

パナソニックが欧州で来年発売する自然冷媒のプロパンを使ったヒートポンプ式暖房機の見本=3日、パリ(桑島浩任撮影)
パナソニックが欧州で来年発売する自然冷媒のプロパンを使ったヒートポンプ式暖房機の見本=3日、パリ(桑島浩任撮影)

【パリ=桑島浩任】欧州の環境規制の厳格化に対応しようと、日本の空調メーカーが技術開発を急いでいる。パナソニックは3日、地球温暖化への影響を抑えられる冷媒を使った暖房機の新製品を発表した。空調機器で高い世界シェアを誇る日本企業だが、規制への対応が遅れれば、競争力減退につながりかねない。

パナソニックは3日、パリで始まった欧州最大規模の空調見本市「インタークリマ」で、温暖化への影響が小さい「自然冷媒」のプロパンを使ったヒートポンプ式暖房機を発表した。冷媒とは、エアコンやヒートポンプ式の内部を巡らせて、空気を冷やすための化学物質。多くの空調機器は冷媒として代替フロンを使うが、温暖化への影響が、二酸化炭素に比べても非常に大きく、世界で規制が進んでいる。

そこでパナソニックは、大気に放出されても自然分解され、温暖化への影響が小さいとされる自然冷媒を使った空調機の開発研究を進めてきた。これまで自然冷媒は、可燃性や毒性があるため屋内の冷暖房機向けに使いにくい、などの課題があったが、今回、プロパンが漏れない構造の実現に成功したという。

日本の空調メーカーは売上高世界トップのダイキン工業を筆頭に、三菱電機やパナソニックも高い世界シェアを誇る。特に欧州は近年、温暖化への影響が小さいとされるヒートポンプ式への買い替えが進んでおり、重要な成長市場となっている。パナソニック空質空調社の道浦正治社長は「欧州市場で、絶対に勝ち抜かなければならない。環境への取り組みは待ったなしの状況だ」と話した。

2019年に発効したモントリオール議定書のキガリ改正などで世界の代替フロン規制は厳格化、各メーカーは新製品開発を急いでいる。さらに今年4月には欧州で代替フロン削減を加速化する規制改正案が発表された。提案が通れば、30年までに既存の代替フロンを使った機種の販売は難しくなるという。

三菱電機空調冷熱技術部の四十宮(よそみや)正人次長は「これほど性急に規制を強化されては、対応製品への入れ替えがとても間に合わない」と危惧。ダイキンも空気中で分解しやすい新しいグリーン冷媒の開発を進めているが、まだ製品化のめどは立っておらず「普及は30年以降になる」といい、改正案の行方を注視している。

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