オスカルと切り開いた人生 「ベルばら」誕生50年、池田理代子さんに聞く

「当時は漫画の社会的地位は低かった。だからこそ、読み継がれる作品を描こうという決意があった」と振り返る池田理代子さん=静岡県熱海市(寺河内美奈撮影)
「当時は漫画の社会的地位は低かった。だからこそ、読み継がれる作品を描こうという決意があった」と振り返る池田理代子さん=静岡県熱海市(寺河内美奈撮影)

名作少女漫画「ベルサイユのばら」が今年、連載開始50年を迎えた。東京都港区の東京シティビューでは「誕生50周年記念 ベルサイユのばら展」(産経新聞社など主催)が開催中だ。作者の池田理代子さん(74)に作品に込めた思いを聞いた。

「必ず当ててみせます」

「あっという間の50年でした。まさかこの年まで仕事をしていられるとは思っていませんでした」

昭和47年、少女漫画誌「週刊マーガレット」で連載が始まった同作。フランス革命を舞台に、女性として生まれながらも軍人として育てられた男装の麗人・オスカルと、悲劇の王妃、マリー・アントワネットを軸に繰り広げられる壮大な歴史ロマンだ。

きっかけは、池田さんが高校生の頃に読んだシュテファン・ツヴァイクの伝記「マリー・アントワネット」。「無邪気な少女が人間として成長していく姿に感動し、いつか何かの形で描きたいと思いました」

「週刊マーガレット」の表紙を飾った鮮やかなカラーイラスト©池田理代子プロダクション
「週刊マーガレット」の表紙を飾った鮮やかなカラーイラスト©池田理代子プロダクション

漫画家として実績を重ね、ついにつかんだ長編連載のチャンス。しかし、当時は「少女漫画で歴史ものは当たらない」が常識だった。「女子供に歴史なんかわかるわけがない、といわれて。『必ず当ててみせます!』って、もう売り言葉に買い言葉ですよ」と笑う。

徹底的に読み込んだ資料

いかにして子供たちに興味を持ってもらうか。努力は惜しまなかった。海外へ気軽に行ける時代ではなかった当時。古書店街や出版社の資料室に通いつめ、「18世紀当時の下着の裁断方法まで勉強した」というほど徹底的に資料を読み込んだ。

「オスカル」誕生もその一つ。「教科書に書いてあることだけでは面白くない。物語を面白くし、子供たちをひき付けるキャラクターということで、オスカルを創りだしました」

オスカルのモデルは、フランス革命で民衆とともに闘ったフランス衛兵隊のピエール・ユランという伍長。「私は女ですから、男性がどういう感じなのか分からなかった。朝起きてひげをそるのかしら…とかね。だから、女性にしちゃったんです」

信念貫いたオスカル

少女漫画の歴史を変えた大ヒットとなった同作は世界中で翻訳され、今も読み継がれている。華麗な絵柄もさることながら、自らの信念を貫いたオスカルをはじめ、骨太の人間ドラマが時代も国籍も超えて愛されるゆえんだろう。

「連載当時は『女のくせに』と平気で言われてしまう時代でした。オスカルには、男女の区別なく、自分の才能によって人生を切り開いていってほしいという願いを込めました。すべての登場人物が、いとおしくて、意味のある存在です」

連載開始から半世紀。「当時から、『お嫁に行くときに持っていきます』というファンレターをもらっていましたが、実際に、『母親から薦められて』というファンの方が増えてきました。私がいつかこの世からいなくなっても、ファンの方が、『ベルばら』を読んで感動した思いをいつまでも覚えて、次の世代に伝えていってくれるとうれしいですね」(塩塚夢)

「誕生50周年記念 ベルサイユのばら展」内覧会で展示されている、池田さん直筆の原画 =東京・六本木ヒルズ(鈴木健児撮影) ©池田理代子プロダクション
「誕生50周年記念 ベルサイユのばら展」内覧会で展示されている、池田さん直筆の原画 =東京・六本木ヒルズ(鈴木健児撮影) ©池田理代子プロダクション

誕生50周年記念 ベルサイユのばら展

連載当時の原画約180点を展示するほか、宝塚歌劇やTVアニメの「ベルばら」も紹介。

<東京会場> 東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)11月20日まで

<大阪会場> 阪急うめだ本店 9階阪急うめだギャラリー 11月30日から12月12日まで

※その他巡回先は決定次第公式サイトにて発表

「ベルサイユのばら展」公式WEBサイト

 


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