主張

希望子供数の低下 出産の選択肢を狭めるな

将来の経済的な不安が解消され、仕事と子育ての両立が可能な環境が整わない限り、子供を欲しくても、子作りに前向きになれない。そういうことなのだろう。

国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査によれば、未婚者(18~34歳)のうち、将来結婚する意向がある人が希望する子供の数は男性が平均1・82人、女性が同1・79人だった。いずれも過去最低で、女性の希望は初めて2人を下回った。

調査はほぼ5年に1回行っており、今回は令和3年6月時点の状況を調べた。

新型コロナウイルス禍が経済的な不安に拍車をかけたことが、過去最低の背景にあるようだ。

厚生労働省の人口動態統計(概数)によると、3年に生まれた子供の数(出生数)は約81万人で、6年連続で過去最少を更新した。今年1~6月の上半期の出生数は約38万人だった。上半期で40万人を割るのは平成12年以降、初めてである。令和4年の出生数が80万人を割る可能性は高い。

少子化の進行は、経済を縮小させる。社会保障制度の担い手が減少すれば、高齢化と相まって現役世代の負担は増加する。こうした事態を放置すれば、社会は活力を失うことになる。

出産が個人の自由意思であるのは言うまでもないが、産みたい人が出産をあきらめなければならない社会にしてはいけない。

岸田文雄首相は出産時に原則42万円が支給される出産育児一時金を増額する意向を表明している。育児休業期の給付の拡充や男性育休の推進も図る方針だ。

希望しても認可保育所などに入れない待機児童は今年4月時点で約3千人と過去最少となったが、保育の質の向上は依然、求められている。少子化対策には一刻の猶予も許されないと、政府は肝に銘じるべきだ。

調査で気掛かりなのは、「一生結婚するつもりはない」と答えた未婚者が増加傾向にあり、男性17・3%、女性14・6%と、男女とも過去最高だったことだ。

日本は婚姻後に出産するケースが多い。結婚に対する意欲の減退は、直接出生数の低下に拍車をかけることになる。

結婚もまた個人の自由意思ではあるが、多様な選択肢を用意し、可能性を広げることは、政治と社会の役目だろう。

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