主張

かっぱ寿司 社長逮捕に企業統治疑う

不正競争防止法とは、事業者間の公正な競争を確保することを目的としており、同法によって不正取得が禁じられた「営業秘密」とは、「秘密管理性」「非公知性」「有用性」の3要件を満たすものとされる。

つまり、秘密として管理され、一般には入手できない有用な情報、ということである。

回転ずしチェーン「かっぱ寿司」を運営する「カッパ・クリエイト」の社長、田辺公己容疑者ら3人が不正競争防止法違反(営業秘密領得)などの疑いで警視庁に逮捕された。営業秘密の不正取得の疑いによる社長の逮捕は異例中の異例である。

田辺容疑者は以前に競合する回転ずしチェーンの「はま寿司」で取締役を務めており「カッパ社」に転職した。田辺容疑者は、はま寿司の仕入れデータなどを不正に取得し、はま寿司時代の元同僚、湯浅宜孝容疑者はデータ閲覧のためのパスワードを田辺容疑者に教えたとされる。

カッパ社幹部の大友英昭容疑者は田辺容疑者とこの仕入れデータを共有し、社内で商品開発につなげた疑いが持たれている。

容疑が事実なら「営業秘密」の3要件は十分に満たされているとみるべきだろう。

田辺容疑者は古巣のデータを転職先に持ち込み、社内で活用し、社長に上り詰めたことになる。「はま寿司」側の刑事告訴を受けた後も社長であり続けており、カッパ社や同社を傘下に置く外食大手、コロワイド社の企業統治のあり方も問わねばならない。

安価で手軽な外食産業として発展した回転ずし業界では、「スシロー」「くら寿司」「はま寿司」「かっぱ寿司」の上位4社でシェアの約7割を占める。ライバル関係も熾(し)烈(れつ)で、他社よりどれだけいいネタを廉価で仕入れるかが勝負を分ける。それだけに、仕入れデータは秘中の秘で、宝の山だ。

業界最大手の「スシロー」も6月、客に提供できない商品の広告を流したとして、消費者庁が景品表示法違反(おとり広告)で再発防止を求める措置命令を出した。これも背景には他社との客の奪い合いがあったのだろう。

すしは生ものであるだけに、消費者は清潔さに敏感だ。食品や店内の清潔はもちろん、社の姿勢についても同様のことがいえると胸に刻むべきである。

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