イラン、デモ収まらず 死者50人超か

9月21日、イラン・テヘランで警察に拘束され、女性が死亡したことへの抗議デモをする人たち(ゲッティ=共同)
9月21日、イラン・テヘランで警察に拘束され、女性が死亡したことへの抗議デモをする人たち(ゲッティ=共同)

【カイロ=佐藤貴生】イランで女性が髪を覆うスカーフを適切に着用していないとして警察に拘束され、不審死したことに抗議するデモが起きてから2週間が過ぎた。全土に拡大したデモの勢いは衰えず、治安部隊が実弾を発射して鎮圧しているとの情報もある。イラン情報省はデモに関連して欧州の国籍保有者9人を拘束したと発表、欧米との対立が深まりそうだ。

ロイター通信によると、イランでは1日も抗議デモやストライキが各地で行われた。多くの大学で学生がデモを行い、首都のテヘラン大学では数十人が拘束されたもようだ。交流サイト(SNS)には「(イランの最高指導者)ハメネイに死を」と叫んだり、主要道路を封鎖したりするデモ隊の様子が投稿されている。

国営テレビは9月30日、南東部ザヘダンの警察署に何者かが発砲して治安部隊が応戦し、19人が死亡したと伝えた。

イランのメディアはデモ発生以来の死者を41人としているが、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは30日、少なくとも52人が死亡して数百人が負傷したと発表した。「デモ隊の大半は治安部隊が発射した実弾で死亡した」とし、実際の死者数ははるかに多いとの見方を示した。

一方、イラン情報省は30日、「暴動に参加したか背後で陰謀を企てた」とし、仏独伊やポーランド、オランダなど欧州諸国の国籍を持つ9人を拘束した。また、米国が体制の不安定化を狙ってデモを扇動していると批判しており、欧米の反発も予想される。

不審死を遂げたのは西部クルディスタン州出身のマフサ・アミニさん(22)。首都テヘラン滞在中の13日、スカーフをきちんとかぶっていないとして風紀を取り締まる警察に拘束され、16日に死亡した。

アミニさんの父親が「娘に健康上の問題はなく、死の責任は警察にある」と主張して暴行疑惑が浮上し、17日に抗議デモが始まった。イスラム教が国教のイランでは、聖典コーランに基づき女性は頭部をすべてスカーフで覆うよう義務付けられている。

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