主張

露の併合宣言 世界秩序の破壊を止めよ

どれだけのウクライナ国民を殺(さつ)戮(りく)し、生活を破壊した結果なのか。ロシアのプーチン大統領がしていることは断じて許されない。

プーチン氏はウクライナ東部のドネツク州、ルガンスク州、南部のヘルソン州、ザポロジエ州を併合すると9月30日に発表した。ウクライナ領の約15%にあたり、第二次大戦後の欧州で最大の領土奪取である。

プーチン氏は、4州で行われた「住民投票」を併合の根拠とした。ロシア編入への賛成票が圧倒的多数だったという代物である。むろん認められない。

武力によって占領されている地域で、人々に銃を突き付けるも同然に行われた投票だ。戦火を逃れてロシア以外に避難した住民には投票権がなかった。茶番と呼ばずして何と呼ぶのか。

ロシアの行動には何ら法的効力がなく、ウクライナ国境は一寸たりとも変わっていない。ウクライナには領土を解放し、国境管理を回復する当然の権利がある。

日米や欧州連合(EU)などがロシアを非難し、併合を認めないと表明したのは当然だ。岸田文雄首相はゼレンスキー・ウクライナ大統領との電話会談で「G7(先進7カ国)で緊密に連携し、さらなる(対露)制裁を検討する」と強調した。

2014年のクリミア併合で、米欧や日本は極めて限定的な対露制裁しか発動しなかった。甘い対応がプーチン氏を増長させ、今日の事態につながったことは否めない。同じ轍(てつ)を踏んではならず、強力な行動が求められていることを銘記すべきである。

ウクライナの領土奪還を支援するのはもちろん、ロシア産の石油や天然ガスの取引にできるだけ制限をかけ、ロシアの戦費を減らしたい。国際機関からのロシア排除も進めるべきだ。国際社会が知恵を絞らなくてはいけない。

拙速な4州併合は、戦況が思わしくないことによる焦りの反映でもある。プーチン政権が核兵器使用の暴挙に出ないよう抑止しつつ、ロシアをさらに追い詰めていくことが肝要だ。

ロシアを明確に懲罰できなければ、国際秩序は崩壊し、世界は混沌(こんとん)を極める。中国をはじめ武力を奉じる国々が、平然と侵略行為を働くことになるだろう。これを許さないために今、全力を尽くさなくてはならない。

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