EUが露非難の声明 追加制裁の発動急ぐ

ウクライナのゼレンスキー大統領(右)とEUのフォンデアライエン欧州委員長=9月15日、キーウ(AP)
ウクライナのゼレンスキー大統領(右)とEUのフォンデアライエン欧州委員長=9月15日、キーウ(AP)

欧州連合(EU)は30日、ロシアによるウクライナ4州の併合宣言を受け、「違法な併合は決して認めない」とする非難声明を発表し、追加制裁の発動を急ぐ構えを示した。欧州では、バルト海の海底パイプライン「ノルドストリーム」で起きたガス流出について「ロシアの破壊工作」を疑う声が出ており、ロシアへの対決姿勢を強める可能性が高い。

EU声明は「ロシアの決定は無意味で、法的効力は皆無だ。ウクライナには侵略から自衛し、占領地を解放する権利がある」と指摘した。ロシアが核兵器使用をほのめかし、兵力動員などで威嚇をエスカレートしていることにも言及。その上で、EUがウクライナを支持する方針は「全く動かない」と明記した。

EUの対露追加制裁案は9月28日、併合宣言を前に欧州委員会が発表した。露産石油の取引価格に上限を設けることが柱で、30日に開かれたエネルギー関連のEU閣僚理事会でも話し合われた。理事会ではガス流出への対応も議題となった。

対露制裁が持久戦になることを見越し、ドイツ政府は9月29日、エネルギー価格高騰から国民を守るため、2千億ユーロ(約28兆円)を投じると発表した。「バルト海のガス流出が影響を与えた」(公共放送ARD)と報じられており、国際情勢が政府に決断を促したとの見方が強い。フランスのコロナ外相は27日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問。「違法な住民投票は認めない」と明言し、クレバ外相に武器支援の強化を約束した。

独仏は対露制裁を支持しつつ、プーチン露大統領との対話を続けてきた。それだけに最近の動きは、「プーチン氏との長期的対決は不可避」との姿勢に転じたことをうかがわせる。

一方、ジョンソン前政権の対露強硬外交を継承したトラス英首相は28日、ウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談で、「英国はロシアによる領土併合の試みを決して認めない」と強調。英首相官邸によると、トラス氏は「プーチン氏が敗れるまで、ウクライナは英国の支援を頼れる」と繰り返した。トラス氏は30日にも「われわれはプーチンの戦争マシンを無力化するため、さらなる制裁などの行動を躊(ちゅう)躇(ちょ)しない」とツイッターに投稿した。

北大西洋条約機構(NATO)に加盟申請した北欧2カ国もロシア批判を強めている。フィンランドのニーニスト大統領は29日、「(住民投票は)ウクライナの国境に影響を与えるものでない」とツイッターで述べた。スウェーデンのリンデ外相も投票は「違法で何の効果もない」と指摘した。(パリ 三井美奈、ロンドン 板東和正)

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