実録:ソーラーパネルを家に設置してみたら、電力消費に対する意識が激変した

実際に使い切ってやろうとしたことだってある。電動アシスト付き自転車を充電し、洗濯機を何度も回し、PCにゲーム機、テレビをあれこれつけたままにしてみた。それでも、自宅のソーラーパネルは余剰電力をどんどん生み続けたのだ。現代のジョニー・アップルシード(西部開拓時代にリンゴの木を中西部に植えて回った人物)になるために、家の前の歩道に電源を設置して「ご自由に電力をお使いください」と書いた看板を立てようかと妄想したほどである。

要するに、電力は貴重であるという憂いが拭われ、満ち足りている感覚へと変化したのだ。

そこで、ふと思いついた。再生可能エネルギーを推進するときには、導入によって生じる心境の変化を大きくアピールすべきではないだろうか。

気兼ねなく電気を使えるようになった

いまのところ、多くの人は太陽光発電や風力発電について懐疑的な意見をもっている。共和党と化石燃料業界の大手企業が中心となって発信した恐怖と疑念をかき立てるメッセージのおかげで、再生可能エネルギーは電力不足を招き、配給制になるのではないかというイメージが何かと付いて回っている。クルマのアクセルを思いっきり踏み込むことはもうできず、環境効率が高くてもみじめなヒッピーになってしまう──というイメージだ。

「クリーンエネルギーの未来では、誰もが少ない電力を何とかやりくりしなくてはならなくなると、大半の人が考えている」と、発明家でエネルギー思想家のソウル・グリフィスは、著書『Electrify: An Optimist’s Playbook for Our Clean-Energy Future』で指摘している。

ところが、自宅の屋根にソーラーパネルを設置した人たちに話を聞いてみたところ、ほとんどの人に同じような心境の変化があったという。想像以上に電力が余ることに気づいたのだ。そして、同じような心境の変化が生まれ、罪悪感は消え去り、何も気にせず電気を使うようになったという。

そこで、クリストファー・コールマンを例に挙げよう。コールマンはデンバー大学で教壇に立つデジタルアーティストで、大量の電力を消費している。デジタルアート作品をひとつレンダリングするために、PCを最大出力で1日半ほど稼働させるときもあるという。

「GPUにはものすごい負荷がかかっています。コンピューターを24時間、毎日休みなくフル稼働させるわけですから」と、コールマンは語る。温室効果ガスを排出する電力だけに頼っていたら、それだけのエネルギーを使うことに躊躇していただろう。

だが、コールマンの自宅には多数のソーラーパネルが設置されている。発電量が豊富なので、すべてを太陽光発電でまかなえるのだ。「おかげで気兼ねなく電気を使えますし、不自由もしません」と、コールマンは語る。

Twitterの個人アカウントのフォロワーを対象に、住宅用ソーラーパネルを設置したことで電力消費に対する考え方が変わったかどうか、アンケートをとってみた。すると、同じように充足感を得るようになったと答えたフォロワーが多数を占めたのだ。躊躇せずエアコンをフル稼働させると、冗談めいた回答をした人も多かった。

「気温が30℃を超える日がありますが、いまではキンキンに冷えた家に帰っても『ぜんぜん平気』と悦に入っていますよ」と、デンバー在住のサンディ・グラットは語る。

また、日中に電力を使うようになったと明かした人も多い。そのほうが、太陽光による電力を自分のために使うことができ、電力会社に売らずに済むからだ(悔しいことに、電力を安く買い取って高く売る電力会社にぼったくられている)。

というわけで、ソーラーパネルを設置した人たちは、日中に電気自動車(EV)のテスラ車を充電したり、生活家電をどんどん使ったり、電気給湯器に買い替えて日が高いうちに1日分のお湯を沸かしたりしている。

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