天皇、皇后両陛下は1日、第77回国民体育大会の開会式臨席のため、日帰りで栃木県を訪問された。
「皆さんと共に出席できることをうれしく思います」。新型コロナの感染拡大後、両陛下の初めての地方ご訪問となった栃木国体。天皇陛下はお言葉でこう述べ、皇后さまと共に、3年ぶりに会場の観客と一体となって国体開会式を見守られた。
今回は感染対策として、大会関係者は約2週間の体調チェックと事前のPCR検査、当日の抗原検査を実施。会場内の観客数も絞り、両陛下が移動されるルートや時間は事前周知を控えるなど、会場外でも出迎えの人の「密」を避ける対策が取られた。
実際にコロナ禍前の地方訪問に比べ、出迎えの人はまばらに見えたが、会場に近づくにつれて列がのび、歓迎に応じられる両陛下の車が減速する時間が長くなった。県によると、県内の休憩場所から会場に入られるまでの約8キロに、およそ5千人が集まったという。
ただ、距離の確保などの感染対策を呼び掛けるパネルを持った関係者が配置され、多くの人はマスクを着用して整然と並び、両陛下を出迎えていた。警備でも、日程に影響が生じるようなトラブルはなかった。
一方、今回は開会式に絞った最小限の日程となり、両陛下が現地の人々と広く、親しく言葉を交わされるような交流の機会は見送られた。22~23日には沖縄ご訪問も控えており、宮内庁幹部は「経験を一つ一つ積み重ねる中で、コロナ禍を踏まえたご訪問の形が見えてくるのではないか」と話している。(緒方優子)