「退職後にも守秘義務を」転職者の情報漏洩どう防ぐ

田辺公己被告
田辺公己被告

競合する回転ずしチェーン「はま寿司」の営業秘密を不正取得したとして、警視庁が30日、不正競争防止法違反容疑で「かっぱ寿司」の運営会社社長、田辺公己容疑者(46)を逮捕した。競合他社に転職した従業員や役員が以前の勤務先から情報を持ち出す事件は後を絶たない。企業が多額の費用をかけて開発した技術や、収集した情報が転職者から他社に渡れば、損失は計り知れない。営業秘密を守るためにどのような対策ができるのか。

企業の情報漏洩(ろうえい)事件はさまざまな業種で起きている。昨年1月には、携帯電話大手ソフトバンクの「5G」サービスの情報を転職先の楽天モバイルに持ち出したとして、不正競争防止法違反容疑で元社員の男性が警視庁に逮捕された。

総務省の「労働力調査」によると、令和3年に離職から1年以内に転職した人は約288万人で、ここ10年は300万人前後で推移。情報処理推進機構による2年の調査では、企業の情報漏洩ルートとして「中途退職者による漏洩」(36・3%)が最も多く、「現役従業員の誤操作・誤認」(21・2%)を上回った。

情報漏洩を防ぐため、経済産業省は平成28年に「秘密情報の保護ハンドブック」を公開し、対策を紹介。転職者対策として「キーパーソンには競業避止義務契約を締結する」「OB会を開催して近況を把握する」ことなどを挙げる。

咲くやこの花法律事務所(大阪)の西川暢春弁護士は、営業秘密を保持するためには「秘密情報にアクセスしてUSBメモリにダウンロードしようとすると、警告が表示されるなどの物理的な対策に加え、法的な対策も必要」と話す。守秘義務については「在職中だけではなく退職後にも適用することを明記すべきだ」とし、就業規則が適用外となる取締役に対しても、守秘義務に関して対策を定める必要があるとした。

「かっぱ寿司」の社長逮捕 不正競争防止法違反、営業秘密持ち出し競合他社に転職

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