井崎脩五郎のおもしろ競馬学

ドウデュースの経験値に期待 凱旋門賞

凱旋門賞に向け、最終追い切りを行うドウデュース=9月28日、フランス・シャンティイ(代表撮影)
凱旋門賞に向け、最終追い切りを行うドウデュース=9月28日、フランス・シャンティイ(代表撮影)

2020年の日本ミステリー文学大賞・新人賞を受賞した『馬疫(ばえき)』(茜灯里(あかねあかり)/光文社/『オリンピックに駿馬(しゅんめ)は狂騒(くる)う』を改題)。

この傑作小説の中に、極めて興味深い指摘がある。

〈海外に、こんな諺がある。『馬が驚くのは、たった二つのものだ。一つは動くもの。もう一つは動かないもの』。つまり、「何を見ても驚く」と告げている。まさに、サラブレッドの特性だ〉

どうしてそういう特性になったのかというと、〈早く走らせるために三百年間、ピリピリとキレ易い性格になるように育種・育成されてきた〉から。

そのため、〈「かなり神経質で、臆病だ。馬運車も嫌いで、乗せる時にいつも苦労する」〉。

ああ、たしかにそうかもしれないなあと、今年の日本ダービー馬、ドウデュースの成績を見ていると思う。

日本ダービーを、ダービーレコードで勝つような逸材が、地元関西圏(小倉、阪神で2戦2勝)以外のレースでは、苦闘した戦績があるのだ。

地元ではなく、関東で走った4戦。

アイビーS 東京 1着

弥生賞ディープ記念 中山 2着

皐月賞 中山 3着

日本ダービー 東京 1着

まずアイビーSは、重賞でもないのにクビ差の辛勝。上がりも2着馬の方が速かった。初の東京を気にしたのか。

弥生賞ディープインパクト記念は、初の中山、初の56キロで2着どまり。

皐月賞は、初の57キロで3着まで。

ところが、日本ダービーでは、東京も57キロも経験済みで、まさに一変、ダービーレコードで競り勝ってみせるのである。

この後、ドウデュースは、凱旋門(がいせんもん)賞の前哨戦ニエル賞で4着。しかしこのときは、関東遠征どころか、遠くフランスまで運ばれて、未経験の58キロを背負っていた。その斤量が凱旋門賞では56.5キロと軽くなり、コースも経験済み。

10月2日深夜、大いに期待してテレビ観戦したいと思う。(競馬コラムニスト)

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