西九州新幹線開業1週間 在来線事故、大雨…「リレー方式」課題

開業を迎え、JR長崎駅(奥)を出発する西九州新幹線「かもめ」=9月23日
開業を迎え、JR長崎駅(奥)を出発する西九州新幹線「かもめ」=9月23日

武雄温泉(佐賀県武雄市)―長崎間を走る西九州新幹線が開業して30日で1週間。利用者数は開業から6日間(9月23~28日)で計約4万6千人、前年の在来線特急との比較で3・2倍となり、運行するJR九州の古宮洋二社長は「比較的順調な滑り出し」と評価した。ただ、新幹線に接続する在来線区間の踏切事故や大雨に伴い、新幹線でも遅延が発生するなど、新幹線と在来線特急を乗り継ぐ「リレー方式」ならではの課題も浮かんだ。

 記者会見するJR九州の古宮洋二社長=9月29日
記者会見するJR九州の古宮洋二社長=9月29日

JR九州によると、開業日の9月23日は約1万4千人が利用し、26日以降の平日は4500~4900人で推移した。6日間の利用者数を前年9月の在来線特急(諫早-長崎)の同じ曜日で比較したところ、3・2倍となった。6日間の乗車率は39%で、23日からの3連休が41~66%、26~28日が26~28%だった。

運行は25日まではおおむね順調だったが、26日に新幹線に接続する在来線特急が通る長崎線牛津-江北(佐賀県内)の踏切でトラックが脱輪し、特急の遅延で新幹線も上下2本が運休、下り1本が12分遅れた。27日には福岡地区の大雨で在来線特急が遅延し、新幹線も下り2本が最大30分遅れ、約400人に影響した。28日には新幹線施設に対する爆破予告があり、安全確認のため遅れや運休が発生した。

高架を走る新幹線は災害や事故に強く、天候の影響を受けにくいとされる。27日の大雨でも九州新幹線(博多-鹿児島中央)は通常通り運行した。

西九州新幹線も九州新幹線と同じ高架を走る「フル規格」で整備されている。しかし、整備計画がある九州新幹線長崎ルート(博多-長崎)では、佐賀県内の一部区間(新鳥栖―武雄温泉)で整備方式が決まらず、博多-武雄温泉は在来線特急、武雄温泉-長崎は新幹線という「リレー方式」で運営されている。このため在来線区間のトラブルが、新幹線の運行に影響する。

9月29日の記者会見で古宮氏は、開業から6日間の点数を問われ「(最初の)3日間は100点だったが、その後いろいろな出来事があり、その点を引いて80点」と表現した。26日に事故が起きた踏切はトラックの進入が禁止されており、事故防止に向け在来線区間の踏切を点検する考えを示した。

開業効果をどれだけ持続できるかも課題となる。開業日に長崎にいた古宮氏は地元の熱気を実感したといい、「息の長い取り組みにすることが課題。ようやくスタートラインに立った」と気を引き締めた。

100%の力を

一方、開業前日、佐賀県内の市町議会の議員有志で構成する「フル規格促進議員の会」が佐賀市内で市民との意見交換会を開いた。新幹線整備への理解を深めてもらうことが目的で、会長の平原嘉徳・佐賀市議は「新幹線が100%の力を発揮するには全線フル規格が必要だ」と訴えた。

市民からは未整備区間のルートに関する意見のほか、区間内にある佐賀市内の再開発の遅れを心配する声が出た。長崎駅と佐賀駅のにぎわいを比較し、「佐賀市が取り残されている」という指摘もあった。佐賀駅には九州の県庁所在地で唯一、JR九州が手掛ける大型商業ビルがない。

意見交換会にはJR九州の社員も出席。博多-鹿児島中央間を結ぶ九州新幹線の開業で、通勤や通学に新幹線を使う選択肢ができた事例を紹介し「新幹線が通ることがニーズにつながり、佐賀からの人口流出の食い止めにつながる」と述べた。

国と県は令和2年から整備方式やルートを含め検討する「幅広い協議」に乗り出しているが、今年は2月以降、会議が開かれていない。事態打開に向け、フル規格促進議員の会は住民への理解を広げる活動のほか、11月5日に佐賀市内で決起大会を開き、フル規格化実現への機運を高める。(一居真由子)

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