加速する中国の「同化政策」 ウイグル人女性が実態を告白

講演では一時帰国して収容所に入れられた後、死亡が確認された女性の話も紹介された
講演では一時帰国して収容所に入れられた後、死亡が確認された女性の話も紹介された

中国の新疆ウイグル自治区でウイグル人に対する人権侵害が行われているとして、日本在住のムカイダイスさんが愛媛県西条市で講演し、植民地となった国に訪れる悲惨な実情を具体例を挙げて述べ、「民主主義の日本がアジアを守る力を持ってほしい」と訴えた。

深刻な人権侵害

この問題では、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が今年8月、「深刻な人権侵害が行われている」とする報告書を発表。報告書は、差別的で恣意的な身柄拘束は人道に対する罪に相当する可能性がある▽職業訓練施設は自由に退所できず、収容は自由の剝奪-とし、中国に対し、恣意的な拘束を受けているすべての人の解放を勧告し、ウイグル族らに対する差別的な政策、法律の撤廃を要求する内容となっている。

講演会は「美しいふるさと西条実行委員会」の主催で、新型コロナウイルス対策として参加数を制限して9月11日に開かれた。ムカイダイスさんは「ウイグル人女性が語る『祖国』への想い」のテーマで壇上に立ち、「私のふるさとで何があったのかを話したい」と語りかけた。

冬季五輪外交ボイコット

ジェノサイド(集団殺害)をめぐっては、1948年に国連総会でジェノサイド条約が採択され、51年に発効した。集団の構成員を殺す▽重大な肉体的、精神的危害を加える-など5項目の定義があり、いずれかに該当するとジェノサイドとされる。

ムカイダイスさんは「ウイグルは定義に全部あてはまる」と指摘し、中国の人権問題が国際社会に認知された背景に、中国国外の亡命ウイグル人らの活動があったと説明した。米国は昨年、ジェノサイド及び人権に対する罪を認定。批判の声の盛り上がり、各国の2月の北京冬季五輪の外交ボイコットにもつながった。

中国は人権侵害を全面的に否定しているが、日本でも今年2月1日、衆院で「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」がなされた。「不十分な内容だった」との指摘もあったが、ムカイダイスさんは「民主主義の力が発揮された。対中非難決議はアジアでは日本が初めて。私は日本に感謝したい」と評価した。

誰が助けてくれるのか

ムカイダイスさんは、講演でふるさとについて紹介。東トルキスタンはトルコの東という意味で、日本では西域、シルクロードの国として知られる。広さは日本の約4・6倍で、中国の約5分の1を占め、美しい自然と豊かな文化を持つ、と語った。

「植民地となって以降、トルコ民族のウイグル人は出ていけと言われた。今は中国の植民地で、中国共産党によりさまざまな人権侵害に苦しめられている。支配者は魂が怖い、文化が怖いのです。言語を失わせ、思想を改造しようとする。私たちを中華民族にしようとしている」と人権侵害が続く実情を、強制される不妊手術、漢民族の男性兵士との結婚など事例を示しながら説明した。

「私たちは国を守れなかった。世界がジェノサイドを認定しても、誰が誰を助けてくれるのか。自分の国を渡したら悲惨なことになる。ホームステイといって漢民族が一緒に住みます。『親せき』となって家に入ってくるわけです。娘を持つ親は抵抗することはできない。これは合法化されたレイプ政策です。収容所では女性は髪を切られ、中国製のかつら、つけまつげとして日本でも売られています」

ときおり、涙ぐみ、言葉に詰まりながらもムカイダイスさんは語り続けた。

ウイグル人の弾圧について紹介された講演会=愛媛県西条市
ウイグル人の弾圧について紹介された講演会=愛媛県西条市

日本はアジアを救う力を

「収容所は人間の尊厳を踏みにじる。だめです。犯罪です」とムカイダイスさんは強調する。「でも、そこで殴られた人は知っていても、証拠を示すのは難しい。助けてくれたのは、心ある漢民族の方々でした。14億人の漢民族の中に心ある人はたくさんいる。そのような人々は、真の意味で日本と仲良くなりたいと思っています。それを日本の皆さんも知るべきです」と述べた。

ムカイダイスさんは東京の多磨霊園にウイグル人の墓があることも紹介し、「大事にしてくれた日本に感謝しています」と話した。そして「日本はだめなものはだめと言える民主国家。アジアを救う力を持つことが必要です。中国の暴挙から守ってほしい。日本は世界の平和をリードする国となってほしい」と訴えた。(村上栄一)

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