熱いファンとの出会いの場 「好き」深めるカギに迫る キユーピー

「キユーピー」上席執行役員兼「トウ・アドキユーピー」社長の山本信一郎氏
「キユーピー」上席執行役員兼「トウ・アドキユーピー」社長の山本信一郎氏

なぜ、商品を好きになったのか?ファン同士が熱く語らうオンライン空間「ファンコミュニティ」では、好感が深まっていく瞬間に出会える。マヨネーズを主力商品とする食品メーカー「キユーピー」では、ファンコミュニティを熱心なファンとの出会いの場として活用するとともに、ファンたちの熱い語らいのなかから、好感を深めるきっかけ、カギを見つけ、広告やマーケティング戦略に役立てている。約13万5000人が参加する、マヨネーズ好きのための場「キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」は、キユーピーにとってどのような存在なのか。同社上席執行役員であり、広告宣伝を担う「トウ・アドキユーピー」社長の山本信一郎氏に聞いた。

ファンの〝熱量〟を高める「アカデミー」

同社が運営する「キユーピー マヨネーズ ファンクラブ」は、マヨネーズ発売90周年を機に平成26年、マヨネーズファンにもっと魅力を知ってもらおうと開設したものだ。コミュニティでは1日平均約300件のコメントが交わされており、主なスペースである「ラウンジ」では、参加者がマヨネーズを使った料理を教え合ったり、旬野菜のレシピについて相談し合ったりと、自由に投稿を楽しんでいる。参加者のなかでもとくに関心の高い人向けに30年から始まったのが、マヨネーズの原料へのこだわりや、調理に使うメリット、活用法をより専門的に伝える場である「アカデミー」だ。毎年4月から1年間を1期として運営する学校スタイルの特別なスペースで、同社商品の特徴とそれを生かした調理法、さらには開発の歴史などの雑学も紹介していく。同社も「ただ何にでもマヨネーズをかけるのではなく、マヨネーズの良さを正しく理解し、使いこなせる〝真のマヨラー〟育成のための重要な取り組み」と位置付ける。

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アカデミーには「講義」と「実習」の2タイプの投稿コーナーがあり、参加者は「講義」でキユーピー マヨネーズの特徴を知識として学びつつ、「実習」で実際にマヨネーズ活用メニューを作り、体感していく。一定回数以上「実習」に参加すると卒業試験に挑戦でき、合格すればマヨネーズを使いこなす「マヨシェルジュ」に認定される。これまでに334人が認定されており、中には繰り返しアカデミーに参加し、実習に取り組んだり、他の挑戦者を励ましたりして、ライフワークのように楽しむマヨシェルジュも少なくないという。

アカデミーの調理実習課題コーナーの投稿。実習結果を写真付きで投稿しなければならず、真剣に取り組んでいる様子がうかがえる
アカデミーの調理実習課題コーナーの投稿。実習結果を写真付きで投稿しなければならず、真剣に取り組んでいる様子がうかがえる

マヨシェルジュは限定イベントやレシピ開発などにも参加できる、ファンコミュニティのなかでも特別な存在だ。認定者本人にとっても自信や喜びとなっているようで、ファンコミュニティに参加したばかりの人にマヨネーズを使ったレシピやアイデアを提案してもてなしたり、自身のSNSでも知識を宣伝したりするような参加意識の高い人も多い。まさに、アカデミーは、ファンとファンコミュニティの熱量を高めるエンジンだ。

マヨシェルジュに見る ファン化のカギ

マヨシェルジュたちがいかにキユーピー マヨネーズを愛用しているかは、ファンコミュニティ内での投稿分析や調査にも表れているという。

たとえば、令和3年度集計のマヨネーズの年間購入本数は、ファンクラブ会員の平均は9.4本で、マヨシェルジュは13.6本。同年集計の総務省の家計調査による1世帯当たりのマヨネーズ・マヨネーズ風味調味料の消費量6.0本(※キユーピー マヨネーズの主力商品である450グラムで換算)と比べると、ファンクラブは約1.6倍、マヨシェルジュでは約2.3倍にあたる。マヨシェルジュたちは他の参加者に比べるとマヨネーズの使い道が多く、野菜にかけたり和えたりする以外に、炒めたり肉を漬け込んだりもしていた。

さらに、マヨシェルジュたちの投稿からは、「キユーピー マヨネーズを大好きになるファン化のカギも見えてきた」と山本氏。「かける・和えるといった『食卓で使う』用途よりも、炒めるなど『キッチンで使う』用途を訴求することが重要だと分かった。マヨネーズで食材を炒めるとコクや旨味が増す。そういった機能を実感し、家族に喜ばれるといった成功体験を積むと、マヨネーズを『料理をおいしくしてくれる存在』として認識し、強い親近感を持つようになる傾向が見えてきた」と説明する。

1本あたり(450グラム)3.6個分の卵黄を含むキユーピー マヨネーズは、調味料として使うことで、卵のコクや旨味を料理に加えることができる。こうしたマヨネーズの調味料としての効果についてファンクラブでは、「マヨネーズマジック」として力を入れて発信してきたという。マヨシェルジュや参加者たちの投稿をさかのぼることで、「炒め油の代わりに使うとコクがアップし、チャーハンがパラパラに仕上がる」体験や、「卵に混ぜこんで焼くとふわりと仕上がる」体験についての投稿をきっかけに、調理の投稿が増えたり、好意的なコメントが増えたりといった変化が表れており、「ファン化」が裏付けられたという。

こうした分析は毎年、アカデミーの講座内容の改善にも反映。テレビCMなどの戦略にも役立っているといい、「マーケティング効率を上げるうえでも非常に重要な発見。もっともっと活用していきたい」と話す。

マヨシェルジュとしての活動歴が長いkizuna-kanaさんの投稿写真。サラダはもちろん、主食やデザートまでいろいろなメニューにキユーピー マヨネーズを活用している。完成度の高い料理写真や投稿を楽しみにしているユーザーも多い
マヨシェルジュとしての活動歴が長いkizuna-kanaさんの投稿写真。サラダはもちろん、主食やデザートまでいろいろなメニューにキユーピー マヨネーズを活用している。完成度の高い料理写真や投稿を楽しみにしているユーザーも多い

深まる絆 次の100年へ

「マヨシェルジュにはもっともっとスキルを磨いていただき、真のマヨラーとして、我々に代わって発信してもらいたいですね。キユーピー マヨネーズに対して、単なる商品を超えた特別な存在として愛着を感じ、パートナーのように思っている方もいて、ありがたい」と山本氏も感嘆する。マヨシェルジュたちとはこれまで、東京都調布市にある見学施設「マヨテラス」の新設コースの先行体験会や、マヨネーズの研究開発を担当するメンバーとの座談会などの特別なイベントのほか、レシピを共同開発してホームページやSNSで紹介するなどさまざまな企画を行ってきた。

昨年からはファンコミュニティでの活動のPRにも力を入れており、マヨシェルジュの存在も徐々に知られるようになってきた。ファンコミュニティ発の商品第1弾として10月10日の「ポテトサラダの日」に合わせて、1日から発売される総菜「半熟玉子とブロッコリーのポテサラ」では、マヨシェルジュにキャッチコピーを考えてもらい、商品に添えた(キユーピーグループの「デリア食品株式会社」より、全国のスーパーで10日まで期間限定販売)。マヨシェルジュ活躍の場は今後も増やす予定で、「マヨシェルジュたちは、我々のアンバサダー(宣伝大使)であり、頼りになるパートナー。社員と一緒になって考えてくれる仲間だと思っている」と、山本氏も厚い信頼を寄せる。

かつて日本で初めてマヨネーズを発売し、新しい食文化として広めたキユーピー。令和7年には、発売100周年の節目を迎える。「90周年の際は、いつまでも古ぼけない、時代のスタンダードでありたい、と願っていた。100周年には、次の100年も愛される商品となれるよう進化させていく姿勢を見せていきたい。頼もしいマヨシェルジュたちと一緒に、楽しみ、盛り上げていけたら」と、前を見据えた。

「キユーピー」上席執行役員兼「トウ・アドキユーピー」社長の山本信一郎氏
「キユーピー」上席執行役員兼「トウ・アドキユーピー」社長の山本信一郎氏
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