国連事務総長 露の4州併合「国際法違反」と指摘

【ニューヨーク=平田雄介】国連のグテレス事務総長は29日、露大統領府がウクライナ東部と南部の4州をロシアに併合するための「調印式典」を30日に開くと発表したのを受けて会見した。グテレス氏は「武力による威嚇または行使によって他国の領土を併合することは国連憲章の原則と国際法に違反する」との見解を示し、併合を進める決定について「法的価値はない」と非難した。

また、ロシアに対し「(併合は)平和への展望をさらに危うくする。瀬戸際から一歩下がるべきときだ。破滅的で、無意味なこの戦争を終わらせなければならない」と呼びかけた。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、グテレス氏の発言を受けて「明確な立場を示してくれたことに感謝する。ロシアの行為には法的効力はなく、世界は認めない」とツイッターに投稿した。

グテレス氏は会見で、国連は「ウクライナの主権、統一、独立、領土保全に向けて完全に専念している」と説明。ロシアへの一方的な編入を図って実施された「住民投票」について、「武力紛争の中、ロシアの占領地で、ウクライナの法律・憲法の枠組みの外で行われた」と指摘し、これらは「真の民意の表明とはいえない」と批判した。

同氏はまた、ロシアは安全保障理事会の常任理事国として「国連憲章を尊重する『特別な責任』を有している」と指摘。言外に、ロシアが自ら特別な責任を放棄し、安保理の信頼性を脅かしているとの不満をにじませた。

武力による威嚇または行使による領土取得の違法性は、国連総会が1970年10月24日に全会一致で決議した「友好関係原則」にも示されている。この決議について、同氏は「一般国際法の規則を述べたものとして国際司法裁判所(ICJ)が繰り返し引用している」と紹介し、4州併合を目指す動きは「国際的な法的枠組みと調和せず、国際社会が守るべきもの全てに反する」と強調した。

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