電気代に抜本値上げの動き 都市ガスも高騰で家計に打撃

大手電力10社が29日発表した11月の家庭向け料金(規制料金)は、全社が前月から料金を据え置いた。燃料費上昇分を料金に反映できる上限に達したためだ。だが、ウクライナ危機に伴う燃料価格高騰などで中国電力と北陸電力は規制料金の値上げの検討を始めており、他の大手電力にも同様の動きが広がる可能性がある。都市ガス大手でも、値上げ上限に達している大阪ガスが12月分料金から値上げに踏み切る。政府は、10月に策定する総合経済対策に電気料金の負担軽減措置を盛り込む構えで、その行方が注目される。

「燃料調達や設備投資への影響が出始めている。電力の安定供給にも支障が出かねない切迫した状況」。中国電の滝本夏彦社長は13日の会見で、家庭向け規制料金を含む全ての料金の値上げの検討を表明した。北陸電も全ての電気料金の見直しを検討中だ。

2社が経済産業省への申請と認可が必要な規制料金の値上げを検討するのは燃料費高騰の長期化で経営が厳しくなっているためだ。

規制料金には、燃料価格の変動を毎月の料金に反映させる「燃料費調整制度(燃調)」がある。しかし現状では全社が値上げの上限に到達している。各社の電源構成や調達コストから算出する基準価格の1・5倍まで燃料費高騰分を料金に転嫁できる仕組みの想定を超えた状況が続き、料金に転嫁できない超過分は各社が負担している。

大手電力の規制料金の値上げは利用者の負担軽減のため、経産省が申請内容、特にコスト面を厳しく審査する。大手電力関係者は「できればやりたくないのが本音だ」と明かす。ただ、各社の規制料金は1年前から最大で3割ほど高騰しており、値上げ申請を検討している2社以外も経営状況は厳しい。

一方、都市ガス大手の11月の料金は4社中3社が値上げとなった。標準的な家庭のガス料金は、東邦ガスが321円、東京ガスが286円、西部ガスが232円それぞれ値上げした。東京ガスは従来想定していた値上げの上限に7月分料金で到達。10月分から段階的に値上げする。都市ガス各社の値上げに経産省の認可は不要で、他社も東京ガスと大阪ガスの値上げに追随する可能性がある。

今後、政府・与党が総合経済対策で電気・ガス料金の上昇などの物価高への対応を議論する上では、大手電力からの規制料金の値上げ申請なども視野に、実効性の高い家計負担の軽減措置を検討する必要がありそうだ。(永田岳彦)

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