【ソウル=時吉達也】ハリス米副大統領は29日、バイデン政権発足後初めて韓国を訪問し、朝鮮半島の南北軍事境界線がある非武装地帯(DMZ)を視察した。ハリス氏は現地で「北朝鮮が地域の平和と安全を脅かしている。米韓はいかなる不測の事態にも備えている」と述べ、25、28日に相次いで弾道ミサイルを発射した北朝鮮を牽制(けんせい)した。
現職の米副大統領がDMZを訪れるのは、2017年のペンス前副大統領以来。ハリス氏は「残忍な独裁政権、人権侵害の横行、非合法な兵器開発」に言及するなど、北朝鮮に対し「異例の強い批判」(ロイター通信)を展開した。
ハリス氏はDMZ訪問に先立ち、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と会談。「米韓同盟は朝鮮半島とインド太平洋の安全保障の要になってきた」と述べ、協力強化の重要性を強調した。また、日本を含む3カ国の安全保障協力の重要性を尹氏に訴え、日韓関係の改善に期待感を示した。
米ホワイトハウスによると、会談では中国が圧力を強める台湾海峡問題も議題となり、ハリス氏は同海峡の平和と安定が「自由で開かれたインド太平洋」構想の核心だと訴えた。