トラス英政権の減税でポンド急落 保守党の支持低迷

23日、英議会に出席するトラス首相(左から2人目)。政府は同日、減税策を発表した(AP、英議会提供)
23日、英議会に出席するトラス首相(左から2人目)。政府は同日、減税策を発表した(AP、英議会提供)

【ロンドン=板東和正】今月発足した英国のトラス政権が打ち出した減税策をめぐり、財源への不安から通貨ポンドが過去最安値をつけるなど市場が混乱している。トラス首相は大規模減税により、物価高のあおりで減速する景気を立て直したい考えだが、急激なポンド安で輸入物価の高騰を招く恐れも出てきた。トラス政権の経済戦略への懸念が強まり、与党・保守党の支持率が低迷している。

クワーテング財務相は23日、年間15万ポンド(約2320万円)を超える高所得者への最高税率を45%から40%に引き下げるなどの減税策を発表。ジョンソン前政権が掲げた法人税率を来年4月に引き上げる計画を撤回する方針も示した。

英メディアによると、今回の減税総額は5年間で約450億ポンドにのぼり、過去50年で最大規模になるという。

クワーテング氏は大規模な減税を「英経済の成長に焦点を当てた新しいアプローチ」と訴え、景気の回復につながると主張した。

しかし、減税策が英国の財政悪化につながるとの警戒感が強まり、ポンドが急落。26日の外国為替市場で、ポンドが対ドルで一時1ポンド=1・03ドル台を付け、過去最安値となった。ポンド安はドル建てで取引されるエネルギー資源や食料の輸入価格の上昇の原因になり、一段の物価高を招く恐れがある。

ポンド急落を受け、英イングランド銀行(BOE)は物価安定を確保するため政策金利の追加引き上げを検討しているとみられるが、インフレがどこまで抑制されるかは不透明だ。

最大野党・労働党で影の財務相を務めるリーブス下院議員は「(トラス政権の経済対策は)無謀なギャンブル」などと非難。英市場の混乱は欧米全体の経済に影響を与える可能性もあり、米国のサマーズ元財務長官は自身のツイッターで「英国の完全に無責任な政策を悲観的に見ている」と指摘した。

英国内ではトラス政権の経済対策への不信感が高まっており、英調査会社ユーガブによると、保守党の支持率は25日時点で28%。減税策を公表する前の22日時点(32%)から4ポイント低下した。野党・労働党(45%)に17ポイントも差をつけられている。

保守党内ではトラス氏に対する批判も出ており、英紙インディペンデントによると、一部の保守党議員がトラス党首に対する信任投票の実施を求めているという。

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