経産省部活改革案 長時間労働に教員悲鳴、欧米並み変革急務

経済産業省
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経済産業省の有識者会議は28日、中学や高校の部活動について、地域スポーツクラブが大会に参加できるようにするなど5つの柱からなる提言を正式に公表した。部活動改革を進める背景には、顧問を務める教員の長時間労働の問題などがある。放課後の指導や、土日の練習試合や大会への付き添いは教員の大きな負担になっており、教員不足も深刻化していることから、部活動改革は急務とされる。ただ、急激な変化に対しては反発も予想され、慎重な議論が必要になる。

「僕は奴隷ではありません」「家族を犠牲にしてまで土日に部活をやるなんておかしい」-。昨年、文部科学省が実施した教師の仕事の魅力をツイッターに投稿するプロジェクトでは、文科省の意図に反し、過酷な労働実態を訴える声があふれた。平成28年度の文科省の調査によると、中学校教諭の6割近くが週60時間以上の勤務をしていた。1カ月の時間外労働を単純計算すると、「過労死ライン」とされる月80時間を上回る水準だ。

長時間労働の要因の一つとなっているのが部活動だ。文科省も問題は認識し、来年度から休日の部活動で民間などを活用した地域移行を進める方針だが、資金面などで課題を抱えており、実現性が疑問視されていた。そこで、部活をスポーツ産業として捉えることで、課題の解消を目指し、経産省が提言をまとめた。

イギリスやドイツでは地域クラブがスポーツ環境として一般的で、米では外部登用での指導が主流となっている。日本のように部活動が事実上、教員の無償労働によって成り立っていることの方が異例だ。ある経産省幹部は「子供のスポーツでお金の話をすべきではないという風潮がある。教育現場では大きな変化を嫌がる傾向があるため、われわれが強いメッセージを発し、改革の起爆剤にならなければいけない」と話す。

ただ、大きな改革となるため反発は必至だ。既に今年から、東京都内の公立中学校で部活指導の事業を始めたJR東日本スポーツの江藤尚志取締役相談役は「やったことがないスポーツの部活の顧問をしている教員は多い。子供のことを考えると、そのスポーツに愛情を持っている専門家が教えるのが一番ではないか」と話す。(浅上あゆみ)

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