主張

露の日本領事拘束 速やかに対抗措置を取れ

ロシアの治安機関「連邦保安局」(FSB)が極東ウラジオストクの日本総領事館に勤務する男性領事を拘束した。

機密情報を不正取得したスパイ容疑だとしており、露政府は「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」を宣告し、この領事を国外追放処分にした。

到底納得できない拘束であり、その理由である。

林芳正外相は「違法な活動を行ったという事実は全くない」と反論した。外務省の森健良事務次官は、ロシアのガルージン駐日大使を同省に呼び出して抗議し、謝罪と再発防止を要請した。

抗議は当然だが、これだけでは不十分である。松野博一官房長官は「相応の措置を講じる必要があると考えている」と語った。ペルソナ・ノン・グラータの宣告を取り消すなどの対応がなければ、即刻対抗措置を講じるべきだ。

日露間の領事条約は、領事官の公務上の行為について「接受国の管轄権からの免除」をうたい、ウィーン条約では「領事官の身体の不可侵」を定めている。外交官を拘束して取り調べるのは、明確な国際法違反である。露側の横暴を許すわけにはいかない。

男性領事は目隠しされたまま両手や頭を押さえつけられ、身動きが取れない状態で連行された。威圧的な取り調べも受けたという。あまりにも乱暴なやり方であり、人道上も極めて問題だ。

FSBは男性領事が金銭を提供し、見返りとして「ロシアとアジア太平洋地域の一国との協力関係」などに関する非公開情報を取得したとしているが、額面通りに受け取るわけにはいかない。むしろ、ロシアのウクライナ侵略を巡り日本が対露制裁で欧米諸国と足並みをそろえていることへの報復とみるのが自然である。

露側は3月に制裁を発動した日本を「非友好国」に指定して揺さぶりをかけてきた。日露平和条約の締結交渉停止を表明したほか、北方領土の「ビザ(査証)なし交流」を定めた日本との合意文書も一方的に破棄した。

岸田文雄首相は国連総会の演説で「法の支配に基づく国際秩序の徹底のため、力と英知を結集するときだ」と訴えた。日本を敵視する露側の動きは今後も続くだろうが、動揺してはならない。欧米などの民主主義国と連携し、さらに圧力を強めるべきである。

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