バルト海のガス漏れ NATO「破壊工作」の見方

デンマーク沖の海面に浮かぶガスパイプライン「ノルドストリーム2」から漏れたガスの気泡=9月27日(ロイター)
デンマーク沖の海面に浮かぶガスパイプライン「ノルドストリーム2」から漏れたガスの気泡=9月27日(ロイター)

【パリ=三井美奈】ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプラインで見つかったガス漏れで、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は28日、「破壊工作」との見方を示した。欧州連合(EU)も同日、声明で「深い懸念」を表明した。ウクライナ侵攻が続く中、ロシアと欧州が対峙(たいじ)するバルト海に緊張が広がっている。

この件で、デンマークのフレデリクセン首相は27日に記者会見した。同国の公共放送によると、首相は「状況から判断すると、故意に行われたもの。事故ではない」として、破壊工作によるものだとの見方を示した。ガス漏れはバルト海の同国領ボーンホルム島沖の水深70~90メートルの地点で起きたとみられている。政府は28日、監視活動のためフリゲート艦などを派遣したと発表した。

スウェーデンのアンデション首相も記者会見で、破壊工作による可能性が強いと指摘した。ガス漏れは27日までに、デンマーク、スウェーデン沖の計3カ所で見つかった。スウェーデン公共テレビによると、同国の地震観測当局は、パイプライン近くで26日に2度、大規模な振動を覚知しており、「爆発があった」との見方を強めている。

ストルテンベルグ氏は28日、ブリュッセルのNATO本部でデンマークのボドスコフ国防相と会談。声明で「パイプラインの破壊工作について話し合った。われわれは、NATO加盟国の重要なインフラの保護に取り組む」と表明した。北海油田を抱えるノルウェー政府は、近海施設の監視を強化する構えを示している。

EUの28日の声明は「すべての状況は、人為的な行為の結果だと示している。欧州のエネルギー施設を故意に破損するのは許せない」として、真相解明のための捜査に協力すると明記した。

一方、インタファクス通信によると、ロシアのペスコフ大統領報道官は27日、破壊行為の可能性はあるかと記者団に問われ、「パイプに何らかの破損があったのは明らかだが、原因については調査結果が出るまで、どんな可能性も排除できない」と述べた。

ガス漏れはパイプライン「ノルドストリーム1」と「ノルドストリーム2」で見つかった。デンマーク、スウェーデン両国政府は、現場から5カイリ(約9・3キロ)内をそれぞれ、航行禁止区域に指定している。

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