安倍元首相国葬

自衛隊が手厚い弔意、安保法制の功績

安倍元首相の自宅前に到着した自衛隊の儀仗隊=27日午後、東京都渋谷区(松井英幸撮影)
安倍元首相の自宅前に到着した自衛隊の儀仗隊=27日午後、東京都渋谷区(松井英幸撮影)

27日の安倍晋三元首相の国葬(国葬儀)には自衛隊員計約1390人が参加し、会場の日本武道館や自宅前で弔意を示す儀仗(ぎじょう)などを行った。遺骨を載せた車列は会場へ向かう途中で防衛省庁舎前広場を経由し、隊員ら約800人が敬礼で見送った。自衛隊の手厚い弔意には、安全保障関連法制の成立など安倍氏が日本の防衛力強化に果たした功績の大きさが込められている。

同日午後1時46分ごろ、安倍氏の遺骨を載せた車が庁舎前広場に入ってくると、集まった隊員らは一斉に背筋を伸ばして敬礼し、最前列の井野俊郎防衛副大臣が深々と頭を下げた。こうした対応が取られたのも安倍氏が生前、安保強化に心を砕き、その成果を防衛省・自衛隊が認識しているからに他ならない。

最大の功績が平成27年9月に成立した安保関連法制で、戦後日本の安保政策の大きな転換点となった。日米同盟は日本が一方的に守ってもらう関係だったが、同法により自衛隊が米軍など他国軍を支援できる法的根拠を確立し、日本防衛に主体的に関わる意思を示した。ある防衛省幹部は「明らかに米軍との連携が深まった。本当の同盟関係になれた」と話す。

集団的自衛権の限定容認には野党の反対が強かったが、安倍氏は国会審議などで自ら陣頭に立ち、国民への説明に当たった。

今夏行われた米海軍主催の多国間海上演習「リムパック」では同法に基づく「存立危機事態」の認定を想定した初の実動訓練が行われた。海洋進出を強める中国や核・ミサイル開発を続ける北朝鮮など、厳しさを増す安保情勢の中で日米同盟や同志国との連携はますます重要になっている。

第2次安倍政権では25年に関係閣僚による国家安保会議(NSC)を設立し、外交・安保政策の要となる国家安保戦略を策定。安保関連法制に先立つ26年には特定秘密保護法を成立させるなど安保強化策を次々と打ち出した。

政府は今年末にかけて国家安保戦略や防衛計画の大綱など戦略3文書を改定し、防衛力の抜本的強化を目指す。安保関係者にとって27日の国葬は、道半ばだった安倍氏の遺志に思いを致し、決意を新たにする機会となった。(市岡豊大)

安全保障関連法制 自衛隊の任務を拡大し、他国軍に対する支援などを行えるようにする自衛隊法改正を含む法制度。第2次安倍晋三政権下の平成27年9月に成立した。日本と密接な関係にある他国が攻撃され、国民への明白な危険があり、他に適当な手段が他にないことなどの条件付きで「集団的自衛権」による反撃を認める。北朝鮮のミサイル発射などの警戒に当たる米軍の艦艇や軍用機を自衛隊が守る「武器等防護」や、国連が統括しない「国際連携平和安全活動」などの任務も新たに加えられた。

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