朝晴れエッセー

サプライズプレゼント・9月27日

「してやられた」とはまさにこのことだ。

私が勤務する中学校では金曜昼の放送に音楽曲のリクエストコーナーがある。その日もいつものように完全黙食の給食が始まった。そして、まもなく、いつもと同じようにリクエストコーナーの時間となった。黙食の沈黙を破るように、「今日のリクエスト曲は『デイドリームビリーバー』です。この曲が大好きな大畑先生に贈ります。大畑先生、60歳のお誕生日おめでとうございます! 3年1組一同より」。

あまりにも急な事態に、あやうくその日の給食の肉じゃががのどにつかえそうになった。そして、生徒たちの温かい心遣いに感謝の念が生まれてきた。いつも提出物や服装など注意することばかりに目を奪われることが多かった私。生徒たちのこんな優しさを認めることのできなかった自分が恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。

給食の時間が終了した。よせばよいのに、顔をしかめて「誰の仕業だ?」と私。生徒たちは目配せをしながら、中心人物であろう女子生徒の方を見る。私は、この日ばかりは眼鏡の奥でこみ上げるものを抑えながら、感謝の言葉が出た。「ありがとう。こんなにたくさんのひとに祝ってもらえて人生で一番ハッピーな誕生日だったよ」と。

年を重ねるのもまんざら悪くない。

大畑祐司(60) 静岡県焼津市

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