男性トイレにサニタリーボックス 設置の動き広まる

奈良県葛城市役所の男子トイレに設置されたサニタリーボックス
奈良県葛城市役所の男子トイレに設置されたサニタリーボックス

前立腺がんやぼうこうがんの後遺症で尿漏れパッドを使う人らの声を受けて、自治体で男性トイレの個室にサニタリーボックス(汚物入れ)を設置する動きが広まっている。奈良県葛城市は8月26日に市庁舎の男性トイレにボックスを設置した。当事者からは「これまで袋に入れて持ち帰っていた。理解が広まればありがたい」と歓迎の声が聞かれる。

同市がボックスを設置したのは、市民がよく訪れる市庁舎1階のほか、図書館や文化会館など市が管理する計15施設の男性トイレの個室。同市の坂本剛司市議(64)が6月市議会で設置を提案したのがきっかけだ。

坂本さんは、前立腺がんを患った親戚から「尿漏れパッドを捨てる場所がなくて困った」と聞き、「迅速に対応しなければと思った」と振り返る。

同市では過去に1度、男性トイレの個室の隅に使用済みの尿漏れパッドが捨てられていたことがあるといい、市の担当者は「捨て場がなくて困っていた人の助けになれば」と話す。

「男性用の尿漏れパッドの需要は増しているが、処分する際の方法など利用者の利便性が考慮されることはなかった」。公共トイレの環境改善に取り組む日本トイレ協会(東京)の砂岡豊彦さん(67)は話す。

同協会が2月に557人を対象に行ったインターネット調査では、排泄を補助する用品を使っている男性38人のうち26人が「ボックスがなくて困った経験がある」と回答した。

同協会によると、自治体が庁舎や施設の男性トイレにボックスを設置する動きは昨年6月からみられ、埼玉や神奈川、岐阜県などの自治体の一部が設置を公表している。砂岡さんは「設置は関東地方を中心に徐々に広まっているが、まだ認知度は低い」と指摘する。

砂岡さん自身、関節の病気のため生理用ナプキンなどを使用した経験があるが、トイレに捨て場所がなく、ポリ袋に包んで持ち帰ったことも。「困っている人は多いと思う。設置についての議論が広まり、男性トイレにボックスを設置することが当たり前になっていけば」と期待した。(堀口明里)

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