政府、国葬海外参列者にマスク要請 英国はマスクなし

英国のエリザベス女王の国葬。日本の「マスク社会」に対し海外の参列者らが違和感を抱くことが想定される=19日、ロンドン・ウェストミンスター寺院(ロイター)
英国のエリザベス女王の国葬。日本の「マスク社会」に対し海外の参列者らが違和感を抱くことが想定される=19日、ロンドン・ウェストミンスター寺院(ロイター)

政府が27日に日本武道館(東京・北の丸公園)で行う安倍晋三元首相の国葬(国葬儀)では、新型コロナウイルスの感染予防のため、参列者にマスク着用を求める。だが、英国で19日に行われたエリザベス女王の国葬では参列者の多くがマスクをしておらず、日本との温度差があらわになったばかり。海外からの入国者数の上限撤廃を前に、海外でどのように受け止められるか。

「国葬儀当日は、海外要人を含む参列者にマスク着用を求める。消毒液設置などの感染対策も行う」。松野博一官房長官は22日の記者会見でこう説明した。国葬には海外から計700人程度が参列する。

厚生労働省が今年5月に示したマスク着用の基準によると、屋内では人との距離が2メートル以上で、ほとんど会話をしなければマスクをする必要はないが、それ以外は基本的に着用を推奨している。国葬の式前後には周囲との会話も想定され、今回の国葬での対応もこの基準に沿っている。

27日は会場近くの九段坂公園に献花台が設けられ、長蛇の列ができると想定される。こうした屋外では会話がほとんどなければ、周囲との距離に関係なく外してもよいが、厚労省幹部は「日本人は公衆衛生への意識が高いだけに、一度、マスクを着けると、外すのはそう容易ではない」と指摘する。

日本の「マスク社会」に対し海外の参列者らが違和感を抱くことが想定される。政府関係者は「日本は感染の『第7波』は落ち着いてきたが、感染者数はまだ多い。海外要人にも『郷に入っては郷に従え』の言葉をぜひ理解してもらいたい」と語っている。

ただ、政府がコロナの感染対策と社会経済活動の両立を図る中、いつまでもマスク着用を続けることに違和感を覚え始めている人は少なくない。10月には水際対策が緩和され、1日当たりの入国者数の上限が撤廃される。新型コロナウイルス禍で激減した訪日外国人客(インバウンド)の増加にも期待がかかる。

国葬に参列予定の野党議員は「日本政府は、今回の国葬を『日本人も海外並みにマスクを外そう』と世界に宣言する場にするといった知恵がない。いつ外せるのか戦略がない。水際対策に合わせ、そろそろマスクも緩和しなければインバウンド拡大も無理だろう」と語る。

加藤勝信厚労相は26日の記者会見で、マスク着用をめぐる出口戦略を問われたが、「今後、新たなウイルス(の出現)とか不確定要因もある中、マスクの着用を含め、感染対策のあり方は不断に検討しなければいけない」と述べるにとどめた。

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