ウクライナ支援缶詰、好評で増産決まる 高知

ウクライナの食卓を再現した3種類の缶詰=高知県黒潮町
ウクライナの食卓を再現した3種類の缶詰=高知県黒潮町

前回お伝えした高知工科大学と連携したウクライナ支援缶詰(売り上げの収益分を寄付)について、今回はこの商品の開発経緯と反響について報告したい。

同大商品開発部員ほか関係者を交えた会議では「高知食材でウクライナの食卓を表現」を命題にさまざまな郷土料理が候補としてあがった。その後、試作、試食会を経て、汁物のボルシチ、主菜のバーベキュー(シャシュリック)、デザートのキャロットケーキ(モルコヴニツェ)と一汁一菜プラスデザートという形で「食卓」を表現した。

弊社としてこの検討の過程で唯一こだわりを示して試作を繰り返し、商品化したかったのがデザートだった。しかし、弊社は7大アレルゲン不使用の工場。小麦、卵、乳などスイーツ系の食材に欠かせない原料が使えないのは、なかなかハードルが高い。それでも、なんとしても商品化したい理由があった-。

遡ること、東日本大震災から約2年後の平成25年5月、宮城県気仙沼市。

缶詰製作所設立に際し、災害食についての課題を経験者に伺い、反映させようと聞き取り調査を行った。食品製造業者、仮設住宅の入居者、市役所の防災担当者、市議会議員、新聞記者など多様な方に話を伺ったが、みな「甘いものが食べたかった」と口を揃えた。

日常食は平和の象徴。ましてやデザートなどの嗜好(しこう)品は被災地では手に入らないものだ。東北での声を生かし、弊社は創業間もないころからスイーツ缶詰を商品化し提供してきた。

自然災害と戦争をひとくくりにしてはいけないが、意図せず日常を奪われた一般市民の苦悩には相通ずるものがきっとあるはず。だから、気仙沼で受け取った思いを今回も形にすることの意義はとても大きい、そう思えてならなかった。

さて3日から販売開始した1100セットは、商品開発部員たちの努力と、活動に理解を示してくれた多くの高知県民により予想を超える販売実績となった。また、報道による情報発信も奏功し、ネットショップでは全国各地から注文を受け、この連載の愛読者からも直接電話注文が入るなど多様な反響が得られた。サポートいただいた皆さまには感謝しかない。

こうした反響を受け、このたび増産が決まった。しかし、永続的な企画ではないため、恐らく今回が最終製造になると思われる。さあ、精いっぱいおいしい缶詰を作ろう。いつかこの缶詰が海を渡り、平和の訪れとともにウクライナの人々に寄り添う存在になることを願いつつ。(黒潮町缶詰製作所 友永公生)

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