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読書の秋 本の森で出会う一冊 金沢「石川県立図書館」

4階建ての吹き抜け空間を取り囲むように整然と設置された石川県立図書館の本棚。天井や本棚には能登ヒバなど県産木材がふんだんに使われている =金沢市(鴨川一也撮影)
4階建ての吹き抜け空間を取り囲むように整然と設置された石川県立図書館の本棚。天井や本棚には能登ヒバなど県産木材がふんだんに使われている =金沢市(鴨川一也撮影)

幾重にも並ぶ本棚を、天井から木漏れ日のように差し込む光が照らしている。360度ぐるりと本に囲まれた非日常的な空間に思わず立ち尽くした。

今年7月に開館した金沢市の石川県立図書館を訪れた。4階建ての円形劇場を思わせる空間に、約30万冊の開架資料のうち約7万冊が並ぶ。

旧図書館の老朽化に伴い「思いもよらない出会いがある場所」を目指して新築されたという。はじめに建築の壮大さに圧倒されたが、やがて本との出会いを演出する仕掛けが随所にちりばめられていることに気づいた。

「こどもエリア」には本棚のそばに遊具があり、小さい子供が体を動かして思い切り遊べる =金沢市(鴨川一也撮影)
「こどもエリア」には本棚のそばに遊具があり、小さい子供が体を動かして思い切り遊べる =金沢市(鴨川一也撮影)

「日本では10人に4人しか図書館を使っていません。多くの人に利用してもらうための工夫を盛り込みました」と、構想から携わっている県文化振興課の嘉門佳顕さん(42)は話す。

本棚に沿ってスロープを歩くと、背表紙ではなく本の顔である表紙が見えるように陳列されているのに目を奪われる。本の分類も「好奇心を抱く」「世界に飛び出す」などとユニークだ。

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館内では「見てこの本、面白そう」と、話し声も聞こえてくる。図書館としては珍しく、会話や携帯電話での通話を許可している。

約500席ある閲覧席もバラエティー豊か。窓際の書斎のようなデスクに座ろうか、本棚の絶景を見下ろせるソファにしようか。お気に入りの場所を探すのも楽しい。

開館2カ月で約25万人が来館し、早くも旧図書館の年間来館者数に迫る。遠方からの観光客も多い。東京都から訪れた森田義樹さん(33)は「海外の図書館みたいでワクワクする。1日いても飽きることがなさそう」と興奮しきりだった。

図書館の愛称は「百万石ビブリオバウム」。ビブリオはラテン語で「本」、バウムはドイツ語で「樹木」という意味だ。間もなく読書の秋。本の森の奥深くに踏み入れば、すてきな出会いが待っているかもしれない。     (写真報道局 鴨川一也)

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