主張

北の「核使用法令」 圧力強めて暴走を止めよ

8日、最高人民会議で施政演説を行う北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(朝鮮中央通信=共同)
8日、最高人民会議で施政演説を行う北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(朝鮮中央通信=共同)

北朝鮮の国会にあたる最高人民会議が、核兵器の使用条件などを定めた法令を採択した。体制維持のため核の先制使用ができるなど核使用のハードルを下げる内容だ。

金正恩朝鮮労働党総書記は演説で「核保有国としてのわが国の地位が不可逆的なものになった」と強調した。

法治が通らぬ独裁国家の「法令」とは聞いてあきれる。法に名を借り、核を放棄しないとの宣伝である。日米韓はさらに結束を強め、核放棄へ圧力をかけ続けねばならない。

法令では、核戦力は正恩氏の「唯一の指揮に服従する」と書かれた。核以外の通常兵器であっても「北朝鮮指導部への攻撃が迫っていると判断された場合」や「国の存立や人民の生命が危ぶまれる事態」などには核兵器の使用が可能としている。

韓国紙は「(正恩氏の)思い通りに核の先制攻撃を行うことができる法令」と解説するが、「核」を脅しや駆け引きに使うのは、北朝鮮の常套(じょうとう)手段である。

北朝鮮が強気に出る背景にはウクライナに侵攻したロシアとの新たな協力関係がある。北朝鮮は否定するが、ロシアは国連安全保障理事会の決議違反を承知で北朝鮮から大量の弾薬を調達する手続きを進めているとされる。

ロシアは5月には、北朝鮮への制裁強化決議案に拒否権を行使するなど安保理での北朝鮮の後ろ盾になっている。

懸念されるのは7回目の核実験だ。16日の米韓の高官レベル協議では、核実験が行われたらこれまでとは別次元の「強力で揺るぎない対応」がとられることが確認された。核実験が強行されれば、朝鮮半島の緊張は一気に高まることが予想される。

何より「核使用法令」は日本の安全保障を脅かしかねない。非核国に対しては「核攻撃をしない」との原則をかかげているものの、「核保有国と結託しない限りは」との条件付きである。「核保有国との結託」がどう解釈されるかも正恩氏の胸三寸だ。米国との防衛協力を進める日本や韓国へのあからさまな揺さぶりである。

日本政府は今年12月に、相手領域内でミサイル発射を阻止する「反撃能力(敵基地攻撃能力)」の保有の是非を決める方針だ。抑止力を高め国民の生命を守るために保有は不可欠だ。

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