主張

円買い介入 投機への警戒を緩めるな

急激に進む円安を抑えるため、政府と日本銀行が22日、約24年ぶりに円を買ってドルを売る円買い介入に踏み切った。

介入実施はないだろうと踏んでいた市場には驚きだったようである。1ドル=145円台後半まで急落していた円相場は介入で、一時140円台まで急騰した。

半年で約30円も下落した円安がエネルギーや食品など幅広い品目の値上げを助長している。最近は市場の投機的な動きも目立つ。

一時的効果しかないとされる介入は対症療法である。それでも政府・日銀が過剰な為替変動を看過しない姿勢を示したことには意味がある。投機的な円売りへの最大限の警戒を緩めてはならない。

米連邦準備制度理事会(FRB)が0・75%の大幅利上げを決めたのに対し、日銀は大規模金融緩和策を維持し、日米の政策の違いが一段と鮮明になった。介入前の市場では、日米の金利差拡大を意識し、運用に有利なドルを買う動きがさらに強まっていた。

円安の背景には、日本よりも格段に激しいインフレの退治に利上げが必要な米国と、新型コロナウイルス禍からの回復が遅れて超低金利政策を維持せざるを得ない日本との経済情勢の違いがある。

ただし、利上げに伴う米景気の減速懸念などを脇に置き、金利差ばかりに着目して円売りを仕掛ける市場の動きは気にかかる。これを見過ごせないのは当然だ。

問題は介入効果である。投機的な動きを一時的に牽制(けんせい)できても円安基調を根本から反転させるには力不足だ。資金に限りがある中で際限なく介入を続けることもできない。相場を人為的に動かす介入に欧米は否定的なので、単独介入より効果的な欧米との協調介入を日本のためだけに大々的に実施するのも難しいだろう。

日銀の黒田東彦総裁は今後2~3年は金利を引き上げる状況にはないとの見通しを示した。その場合、米国で利上げ速度が落ちない限りは金利差に伴う円安の趨勢(すうせい)は反転させにくいとみるべきだ。

その認識で岸田文雄政権は円安対策にあらゆる手を講じなくてはならない。物価上昇に苦しむ家計や企業への適切な支援は引き続き重要だ。円安で収益を改善させた輸出企業などには積極的な賃上げを求めたい。大切なのは、円安の弊害に揺るがぬ力強い経済を実現することである。

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