男鹿市で“オサケ特区”は実現するのか 「日本酒」参入がほぼ不可能な理由

戦後、新規参入した業者はいない(出典:ゲッティイメージズ)
戦後、新規参入した業者はいない(出典:ゲッティイメージズ)

いきなりだが、クイズである。「お酒を造りたいなあ」と思ったとき、どうすればいいのだろうか。答えは、いまの法律だと「事実上不可能」である。

「えっ、そうなの? クラフトビールはたくさんあるのに、なぜ日本酒はダメなの?」と思われたかもしれない。酒税法第10条(第11号の需給調整案件)によって、戦後、新規参入した業者は存在しない。当局が新規の製造免許を認可していないのだ。しかし、そのぶ厚い壁を破って、日本酒を造ろうという企業がわずかながら存在している。

個人的に気になっているのは、秋田県の男鹿市(おがし)で展開している「稲とアガベ」だ。2021年3月に法人化したばかりの同社は、どのようにして日本酒を造ろうとしているのだろうか。先ほど、新規参入は「事実上不可能」と紹介したが、実は3つの方法で日本酒を造ることができる。

「稲とアガベ」の醸造所。JR男鹿駅の旧駅舎を利用している
「稲とアガベ」の醸造所。JR男鹿駅の旧駅舎を利用している
醸造所の中
醸造所の中

1つは、既存業者から委託生産で造ることができる。2つめは、既存業者を買収することで造ることができる。3つめは、海外で販売するのであれば、その日本酒を造ることができる。「稲とアガベ」は海外向けの日本酒を造っていて、香港に輸出している。

「なーんだ、日本酒を造っているからいいじゃん。これからも、がんばってね」と思われたかもしれないが、この会社がユニークなのは、その枠にとどまっていないことである。委託生産をせずに、買収もせずに、どのようなことを考えているのかというと、地元の男鹿市を「清酒特区」にして、それをきっかけに日本酒を造ろうとしているのだ。

新規参入を認めない理由

「清酒特区」が実現すれば、「稲とアガベ」で代表を務める岡住修兵さんは、どのようなことを考えているのだろうか。「自分たちだけがお酒を造るのではなく、全国から『日本酒を造りたい』という人に来てもらいたい。そうすることで、地元が再生してくれればうれしい」と語る。

男鹿市は、日本海に“ゲンコツ”のような形をして突き出た半島にある。「交通の便が悪そうだなあ。衰退しているイメージしかないんですけど」と思われたかもしれないが、その通りである。

人口は1955年に5万9955人をピークに減少していて、2015年には2万8375人とほぼ半分に。その後も減っていて、20年には2万6886人である。国立社会保障人口問題研究所によると、40年には1万2784人まで減少すると言われている。

「人口が減っていく」と試算されているが、日本酒を造ることによって、仲間が増えるのではないか。さまざまな産業が広がれば、男鹿市が再生するのではないか。このように考えているが、現在は参入することができないので、「その他の醸造所」(穀類、糖類を原料して発酵されたもの)カテゴリーとして、「どぶろく」などを造っている。

CRAFT series 稲とアガベ(3300円)
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DOBUROKU series ホップ(3300円)
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