主張

安保理改革 侵略許さぬ陣容をつくれ

国連総会の一般討論演説で、岸田文雄首相は、ロシアのウクライナ侵略で国連の信頼性が危機に陥っているとし、改革に向け行動を呼びかけ、日本の決意を表明した。

首相の指摘する通り、国連の権威が失墜した最大の要因は、ロシアが「国連憲章の理念と原則を踏みにじる行為」に出たことにある。安全保障理事会は、常任理事国のあるまじき暴挙に無力をさらけ出した。22日の会合も非難の応酬に終始した。

ロシア軍の撤退と安保理改革は、表裏一体である。侵略戦争を二度と起こさぬよう、何としても改革を成し遂げねばならない。

国際連合の第一の目的は平和と安全の維持であり、その責任を負うのが安保理である。

米英露仏中という第二次大戦の戦勝5大国が常任理事国となり、拒否権という特権が与えられた。平和は5大国の関与によって維持される。5大国はその責任の重さを自覚し、自ら平和を脅かす存在にはならない。それが前提だったはずだ。

だが、ロシアのプーチン政権はいとも簡単にこれを破り、安保理決議案に対し、侵略を正当化するため拒否権を行使した。

一般討論演説では、バイデン米大統領も、ロシアの侵略を「国連憲章違反」と非難し、国連改革の必要性を強調した。拒否権行使の自制も訴えた。

5大国の一角をなす米国が改革へ前向きな姿勢を示したことは心強い。来年から2年任期の非常任理事国となる日本と協力し、改革を主導してほしい。

安保理改革は、冷戦終結後、30年に及ぶ懸案で、日本などが、理事国を拡大する決議案を提出したが、賛同が広がらず挫折したこともある。だが、今は過去の経緯にこだわっていてはなるまい。

重要なのは、ロシアが国連憲章を逸脱し、常任理事国であり続ける資格を失っている点だ。ウクライナのゼレンスキー大統領はビデオ演説で、ロシアの拒否権剝奪を訴えたが、まさしくそれこそが改革の要諦である。「侵略者」はどのような国であれ、罰せられる仕組みが必要だ。

改革を進めるにあたっては、国際ルール無視の振る舞いが目立つ中国の存在を常に意識すべきだ。首相の演説では、東アジア情勢の厳しさについてもっと語ってほしかった。

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