ローンウルフに警戒 国葬は最高レベルの警備体制

国葬反対デモの警備に当たる警察官ら=23日午後、東京都港区(川口良介撮影)
国葬反対デモの警備に当たる警察官ら=23日午後、東京都港区(川口良介撮影)

27日に日本武道館(東京都千代田区)で行われる安倍晋三元首相の国葬(国葬儀)は、安倍氏の銃撃事件の検証結果を踏まえ、警察庁が要人警護を強化した新体制の下での初の大規模警備となる。海外からも多数の外国要人が参列する予定で、警戒レベルが引き上げられた都内は緊張感が高まっている。

トップに警視総監

21日、警察庁の露木康浩長官が国葬会場となる日本武道館を視察した。大規模警備前に警察トップが現場を視察するのは異例だ。露木長官は「私自身の目でこの現場の状況を確認した」とした上で、「警備の指揮は現場の状況をしっかりと把握することが第一だ」と強調した。

今回の国葬は、皇族や国会議員、各国首脳などの海外要人ら計4300人程度の参列が見込まれる。

警視庁は令和元年11月に行われた天皇陛下のご即位に伴うパレード「祝賀御列(おんれつ)の儀」や昨年の東京五輪・パラリンピックと同様、警視総監をトップとする「最高警備本部」を設置。全国から派遣された応援の警察官約2500人を含め、最高レベルの警備体制を敷く予定だ。

今年5月に都内で開かれた日米豪印4カ国の協力枠組み「クアッド」の首脳会合時は、副総監がトップの「特別警備本部」で、警察官は約1万8000人。今回はその規模を上回る警察官の動員を予定しており、警戒度をさらに高め、トラブルやテロを防ぐという。

警察庁は安倍氏の銃撃事件を受け、奈良県警の警備計画に不備があり、現場の指揮や情報共有が不十分だったなどとの検証結果をまとめた。今回の国葬は、警護要則の運用を抜本的に見直した新たな体制下で初の大規模警備になる。

見直しにより警察庁は警護警備の計画案を全てチェックすることになったが、今回は特に要人の警護計画について細かく確認。公の行事以外の行動についても極力把握し、対応を進めるなど関与を強化している。

露木長官の視察は警察の威信をかけた警備完遂への強い意思表示でもある。警視庁幹部は「失敗は絶対に許されない」と話す。

情報収集強化で対応

国葬当日は、首都高速道路や日本武道館周辺などの一般道など広い範囲で交通規制を実施。日本武道館近くの九段坂公園で行われる一般献花では立ち入りを制限し、手荷物検査を行う。

ただ、国葬に反対する抗議デモが各地で多発、当日も周辺で複数のデモが予定されている。警視庁幹部は「不審な動きは必ず止める」と警戒を強める。

また、過激派や組織に属さず単独で犯行に及ぶ「ローンウルフ(一匹おおかみ)」によるテロや違法行為は、国葬会場のほか、主要駅や繁華街など不特定多数の人が多く集まる「ソフトターゲット」が標的になる懸念がある。安倍氏との別れを惜しもうと葬儀車列が通る沿道にも多数が集まることが想定される。

警視庁は大使館などの重要施設や主要駅などで警察官を増やして警戒。同時に交流サイト(SNS)上の書き込みなど公開情報の収集・分析をするオシント(OSINT=オープン・ソース・インテリジェンス)などで犯行の兆候をつかむ情報収集も強化し、対応に努めている。

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