シネマプレビュー

「バビ・ヤール」ほか3本

映画「バビ・ヤール」(C)Atoms &Void
映画「バビ・ヤール」(C)Atoms &Void

公開中の作品から、文化部映画担当の編集委員がピックアップした「シネマプレビュー」をお届けします。上映予定は予告なく変更される場合があります。最新の上映予定は各映画館にお問い合わせください。

「バビ・ヤール」

ロシアの軍事侵攻に伴い、破壊された街並みや住民虐殺など悲惨な状況が伝えられるウクライナ情勢。第二次大戦中はナチス・ドイツの侵攻を受け、その占領下に置かれるという不幸に見舞われている。

そしてホロコースト(ユダヤ人大虐殺)において一件で最も多くの犠牲者を出した凄惨(せいさん)な事件も起きている。1941年、首都キーウ郊外にあるバビ・ヤールと呼ばれるくぼ地でわずか2日間で3万3771人のユダヤ人が射殺された。

しかし戦後長い間、隠蔽(いんぺい)されてきた。本作はその「バビ・ヤール大虐殺」を、全編アーカイブ映像・資料で描いたドキュメンタリー。バビ・ヤールに連行されたユダヤ人たちは服を脱ぐことを強いられ、裸で銃殺された。犠牲者たちが残した大量の衣服や所持品を映し出したカラー写真は、何よりもその残虐性を端的に物語っている。

監督は、映画「ドンバス」などで知られるウクライナ出身のセルゲイ・ロズニツァ。オランダ、ウクライナ合作。

24日からの東京・シアター・イメージフォーラム、10月1日からの大阪・第七藝術劇場などで全国順次公開。2時間1分。(啓)


「秘密の森の、その向こう」

大好きだった祖母を亡くした8歳の少女ネリー。遺品を整理するため、両親とともに祖母の家を訪れ、近くの森を散策するうちに、母親のマリオンと同じ名前の8歳の少女と出会う。親しくなり彼女の家に行くと、そこは祖母の家とうり二つ…。

祖母の死や悲しむ家族の姿に戸惑う少女。子供の頃の母親と友情を育むことで、愛する人を失った喪失感と向き合い、癒やされる心の機微が独特のタッチで描かれている。

映画「秘密の森の、その向こう」(C)2021 Lilies Films / France 3 Cinéma
映画「秘密の森の、その向こう」(C)2021 Lilies Films / France 3 Cinéma

ベルリン国際映画祭コンペ部門出品作。監督は映画「燃ゆる女の肖像」のセリーヌ・シアマ。23日から東京・Bunkamuraル・シネマ、大阪・シネ・リーブル梅田などで全国順次公開。1時間13分。(啓)

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