北勝富士、一瞬の判断 翔猿との3敗対決制す

【大相撲九月場所13日目】●翔猿(つきおとし)北勝富士〇=両国国技館(撮影・関勝行)
【大相撲九月場所13日目】●翔猿(つきおとし)北勝富士〇=両国国技館(撮影・関勝行)

頭と頭でぶつかって北勝富士が左に動くと、翔猿は前に両手を着き、土俵を飛び出した。大相撲秋場所13日目、3敗同士の注目の一番は、場内がどよめく一瞬の決着だった。

立ち合いの狙いを北勝富士は「昨日の(貴景勝戦で食らった)変化のこともあったし、落ち着いて。中に入らせないように見ていった」と語る。「相手の頭が低かったので流した。あれは狙ってできるものじゃない。当たっているからこその体のさばき方。日頃の稽古(のおかげ)でできたものだと思う」と小さくうなずいた。

埼玉栄高相撲部の同期生を4敗へと追い落とし、自身の連敗を3で止めた。残すは2日。「自分らしい相撲をもう一度取れるように。体もしんどいけど、1日1日、全力でやっていきたい」。星の差1つで単独トップの玉鷲とはすでに対戦を終えているため、目の前の取組に勝っていくことでしか道は開けない。

逆転優勝を狙う北勝富士について、優勝を8回経験している師匠の八角理事長(元横綱北勝海)は「昨日は『肩に力が入りすぎだ』と言っただけ。(優勝争いは)なかなか経験できないこと。普段からどういう稽古をしてきたか。今までやってきたことをやるしかない」と背中を押す。

現役理事長の部屋から優勝力士が誕生したのは、時津風理事長(元横綱双葉山)時代の昭和38年に名古屋場所を制した大関北葉山が最後だ。25日の千秋楽、59年ぶりとなる理事長から弟子への天皇賜杯授与は実現するだろうか。(宝田将志)

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