西九州新幹線開業 経済効果まず100億円超か

大村湾(奥)を望む、嬉野温泉―新大村間を走行する西九州新幹線「かもめ」=23日午前8時3分、長崎県大村市
大村湾(奥)を望む、嬉野温泉―新大村間を走行する西九州新幹線「かもめ」=23日午前8時3分、長崎県大村市

西九州新幹線が23日に開業し、沿線では地域振興の起爆剤となることへの期待が高まっている。長崎県は開業により長崎駅の乗降客数を15%増加させる目標を立てているほか、観光客やビジネス客が増えることによる消費の拡大などで100億円を超える経済波及効果を地元にもたらすとの見方も出ている。長崎から新大阪までの所要時間が30分短縮されることから、関西とのつながりも強まりそうだ。

福岡と長崎を結ぶ長崎ルートの整備計画は、およそ50年前の昭和48年に決定。23日に武雄温泉(佐賀県武雄市)-長崎が開業したが、整備計画のうち佐賀県の一部区間(新鳥栖―武雄温泉)は整備方式が決まらず、着工の見通しが立っていない。新幹線と在来線特急を乗り換える「リレー方式」で運営され、全線が直通するかどうかが今後の焦点となる。

それでも地元は歓喜に沸いている。長崎県新幹線対策課の担当者は「整備計画から半世紀。県にとって悲願の開業だ」と興奮気味に話す。県は、開業により関西や中国地方からの鉄道による輸送人員を15%増加させる目標を立てており、観光プロモーションの強化などに取り組む。

長崎市は昨年、新幹線開業を見据え、国際会議などを開くMICE(マイス)施設「出島メッセ長崎」を整備した。長崎駅直結のこの施設は年間の利用者がおよそ61万人に達し、114億円の経済効果が生み出されると試算されている。

地元のシンクタンクなどからは、新幹線開業が出島メッセ長崎を使う人を呼び込むことや、ほかのビジネスや観光に来る人を呼び込むことなどの経済効果が「100億円以上にのぼる」との声も上がっている。

九州では新幹線鹿児島ルートの成功もあり、西九州新幹線開業の期待値が高まっている。九州経済研究所の試算では、鹿児島ルート全面開業の初年度、463億円の経済効果を鹿児島県にもたらした。

福留一郎経済調査部長は「今回の部分開業でも人の往来が活発になり、一定の経済効果が見込める。効果を最大限に高めるため、長崎と佐賀両県は県外客を呼び込める街づくりや情報発信が必要になる」と話す。

一方、乗り換えはあるものの、長崎-新大阪の所要時間は3時間59分と従来より30分短くなることから、関西でも注目が高まっている。関西経済連合会の松本正義会長は21日の記者会見で、「九州から関西に来るのが便利になるし、関西から九州に行きたいという人が増える効果もあるのではないか」と語った。

りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「部分開業が関西に及ぼす影響は限定的とみられるが、全線開業が実現すれば、観光を中心とした交流人口の増加が予想される。開業にともなう長崎の大型開発も、観光需要の押し上げにつながるだろう」としている。(井上浩平)

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