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宮嶋茂樹 英王室に見習うべきこと

英国のエリザベス女王の国葬がしめやかに執り行われた。天皇、皇后両陛下も参列された葬儀は実に厳粛かつ荘厳で王室の権威を保った英国らしいものであった。一方で、安倍晋三元首相の国葬はいまだにゴタついとる。ここまできたら岸田文雄首相も何が何でもやるであろうが…。

それにしてもや。安倍元首相の日本の憲政史上最長の8年8カ月の在任期間も、在位70年の英女王と比べたら短く感じる。何ちゅうても即位されたときの英首相はあのチャーチルやったんや。それ以降任命した首相は14人にも及ぶんや。

エリザベス女王は、70年間も世界のVIPと付き合われた経験から相手の人柄から能力まで見抜かれる眼力をお持ちだったようである。わが国の皇室とも親しくされ、特に上皇后陛下とはまるで姉妹のようなお仲であった。逆にあの専制でしか権威を示せん、中国の習近平国家主席一派が英国を訪問したときの振る舞いには、非公式ながら「非常に無礼な人たち」との評価を下されたという。英国国王は国家元首でもある。英本国だけやない。豪州、ニュージーランド、カナダなど14カ国と英国で構成する英連邦の国家の元首も兼任されているのである。

しかし、この70年間、親しみやすい「開かれた王室」を実践されたばかりに心を痛める出来事も少なからずあったはずである。長男(現チャールズ国王)の不倫・離婚。その妻であったダイアナ元妃の不可解な事故死…それは臆測を呼び、国民の王室への不信にもつながった。

そんな数々のスキャンダルにもかかわらず、王室の権威が揺るがなかったのはもちろんエリザベス女王の人柄と業績のおかげであろうが、それだけではなかったはずや。英国王は軍の最高司令官も兼ねる。当時のエリザベス王女も先の大戦では軍務に就いているし、英王室の男子はみな士官学校の出身や。実際に最前線の戦いに加わっとるんや。不倫やらスキャンダルやらに学ぶ必要はないが、こうして軍務に就き、国に奉仕する姿勢は、わが国も見習うてもエエのではないだろうか。

【プロフィル】宮嶋茂樹

みやじま・しげき カメラマン。昭和36年、兵庫県出身。日大芸術学部卒。写真週刊誌を経てフリーに。東京拘置所収監中の麻原彰晃死刑囚や、北朝鮮の金正日総書記(いずれも当時)をとらえたスクープ写真を連発。新刊は『ウクライナ戦記』。

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