原発の40年運転ルール「科学的根拠なし」 経産省が論点整理

経済産業省
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経済産業省は22日、原発の運転期間の延長など、原発を巡り今後議論すべき論点を整理し、有識者会議で示した。その中で、40年とした運転期間の上限について「明確な科学的根拠はない」とした上で、制度の見直しに向けた検討を進めるため、原子力規制委員会との対話を図っていく考えも示した。

原発をめぐっては、足元のエネルギー危機を念頭に、岸田文雄首相が8月に運転期間の延長など、既設原発の最大限の活用に向けた方策を検討するよう指示。それを受け経産省が初めて開催した会議で、運転延長のほかにも次世代の革新的原子炉の開発や最終処分の検討課題などについても論点が示された。経産省は年内に、一連の課題に対処するための具体的な方策などを取りまとめる。

経産省によると、原発の運転期間のルールは、東京電力福島第1原発事故を受け設けられた。運転開始後40年を超えては運転できないこととし、規制委の認可を受ければ、1回に限り、最大20年の延長が認められている。

しかし、40年とした科学的な根拠は乏しく、海外では運転期間に上限を設けないことが一般的で、米国では6基が80年の運転延長で認可を受けている。このままでは日本で稼働できる原発は減り続ける見通しで、40年ルールを厳格に守った場合、2050(令和32)年に稼働している原発はわずか3基となる計算だ。これでは、同年に温室効果ガス排出量を実質ゼロとする政府目標の達成も危うくなる。

今回の会合で、経産省は具体的な制度についての提案は行わなかったが、欧米では規制当局の審査を受けることで繰り返し運転延長ができる仕組みを取る国が多く、こうした仕組みの導入や、審査などで運転が止まった期間を、運転期間に算入しないルールの導入などが検討される見通しだ。

原発の安全性にも関わる分野だけに、規制委との対話の必要性にも言及。その際は、規制委の独立性や安全性を最優先するなどの大原則は重視するとした。

運転延長については有識者からも「科学的合理性を検討した上で、見直しが必要だ」など、賛同の声が目立った。一方で一度決めたルールの変更になるため「人によっては唐突に感じる。延長することでどういうリスクがあるのかなど、情報発信も重要となる」と、国民に向けた丁寧な説明が必要という意見も聞かれた。

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