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(233)お酒が増えると がんになりやすく

最近の若者はあまりお酒を飲まなくなったといわれています。統計では20代男性で習慣的に飲酒するのは1割ほど、女性はその半分程度のようです。全年代でも近年の調査で男性は3割強、女性は1割に満たないくらいです。喫煙と同様、飲酒はがんをはじめ、さまざまな病気を引き起こします。

高血圧で通院し始めた60代前半の男性が食事がとれなくなったと訴えて受診しました。1週間前から食べ物が胸につかえる感じがあるそうです。胃カメラの手配をしたところ、食道がんが見つかりました。男性は以前から酒もたばこも多く、やめられずにいました。

喫煙がさまざまな病気の原因となることは間違いありませんが、飲酒も病気を引き起こすことがわかっています。飲酒が関連するがんには、口腔(こうくう)、咽頭、喉頭、食道、大腸、肝臓、乳房(女性)などが知られています。

飲酒量の増減とがんの発症について調べた韓国での研究結果が最近報告されました。これは40歳以上の成人450万人を対象に、6年超の観察期間中の飲酒量の変化と、がんの発生の関係を調べたものです。対象者を飲酒量によって、アルコール換算で1日当たり0グラム、15グラム(ビール300ミリリットル程度)未満、30グラム未満、30グラム以上の4群(順に飲酒なし、少量、中等量、多量)に分け、その後の調査での飲酒量の変化(不変、増加、減少、禁酒)が、がんの発生に及ぼす影響を調べています。結果は飲酒量が多くなるほどアルコール関連のがんが増えていました。

もともと飲酒しない人が中等量飲むようになった場合、飲酒しないままの人に比べて10%、多量に飲むようになった場合は34%、発生が多くなっています。多量に飲酒していた人が酒量を減らした場合、多量に飲み続けた人に比べ飲酒に関連するがんは10%ほど減っていました。ただし、ずっと飲酒しない人に比べれば発生は多くなっています。

飲酒ががんを発生させる原因として、アルコール代謝に関連する酵素の増加が発がん性物質を増やすことなどが考えられています。飲酒をやめることで回復するため、飲酒量の増減ががんの発生率を変化させるのだと考えられます。飲酒量が多くなってはいけないのは間違いないですが、近年の知見からは、少量でも病気を起こす可能性が指摘されています。

この男性患者さんも禁酒禁煙し治療に専念しています。

(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)

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