街行く路面電車

100年前にタイムスリップ 明治村

明治村の路面電車
明治村の路面電車

レトロな建物が並ぶ「博物館明治村」(愛知県犬山市)。ここでは百年以上前に製造された路面電車が現役で走っている。公共交通機関ではないが、博物館エリアで動態保存されている貴重な車両を、番外編としてお届けしたい。

明治村正門から坂を下りると、えび茶で箱型の路面電車が静かにとまっていた。明治43年ごろ製造で昭和36年まで京都市電(現在は廃止)で活躍した車両だ。人と接触しても、すくい上げられるよう車両の前後に救助網が付いている。

レトロな街並みの中を行く路面電車=愛知県犬山市
レトロな街並みの中を行く路面電車=愛知県犬山市
「宵の明治村」で展示される路面電車
「宵の明治村」で展示される路面電車
悪天候の日や夕暮れ時には照明がともされ、暖かかな光が車内を照らす
悪天候の日や夕暮れ時には照明がともされ、暖かかな光が車内を照らす
明治村ではもみじが色づき始めていた
明治村ではもみじが色づき始めていた

ステップを上がり、オープンデッキの運転台を横に見て客室へ。席に着くと、「チンチン」と音がした。車掌が出発の信鈴(しんれい)を鳴らしたのだ。応えるように運転士が「カンカン」と警鐘(けいしょう)。すぐにガタンと衝撃がきて、動き出した。整備されているとはいえ、百年前の骨董(こっとう)品。乗客からは驚嘆の声が上がった。

ただ、スピードは上がらない。大人の小走りほどか。乗務する伊東明さん(62)は「今とは違い、メーターなど速さを制御する機能がありません。だから、人の感覚で運転するのです」と教えてくれた。

「宵の明治村」で夜間にライトを点灯して展示される元京都市電。浴衣姿の入場者らが周囲を行き交っていた
「宵の明治村」で夜間にライトを点灯して展示される元京都市電。浴衣姿の入場者らが周囲を行き交っていた
運転台はオープンデッキになっている
運転台はオープンデッキになっている
各地から移築された明治の建造物の合間を行く
各地から移築された明治の建造物の合間を行く
終点では集電装置のトロリーポールの向きを反対側に変える
終点では集電装置のトロリーポールの向きを反対側に変える

夕暮れとともに、人の姿が増え始めた。午後9時まで営業時間を延長する「宵の明治村」(毎年夏に開催、今年は終了)だ。路面電車は走らず、ライトを点灯した状態で展示される。

暖色の光で照らし出された電車の周りを浴衣姿の入場者たちが歩く。その光景を眺め、下駄の音を聞いていると、100年前に引き込まれたような感覚に陥った。

(写真報道局 永田直也)

村内バスと並走する路面電車
村内バスと並走する路面電車
レトロな建造物を横目に行く
レトロな建造物を横目に行く
「宵の明治村」で展示される路面電車
「宵の明治村」で展示される路面電車
木々を合間をくぐるように行く
木々を合間をくぐるように行く
各地から移築した明治の建物の近くを電車が行く(ドローン使用)
各地から移築した明治の建物の近くを電車が行く(ドローン使用)

【沿革】

明治43年頃に製造され、京都市電で活躍した2両が路線廃止とともに譲渡され、村内で運転を行っている。昭和40年の開村時には展示のみだったが、線路などを整備し昭和42年に運行を開始した。

【路線】 800メートル

【車両】 2両

【運賃】 1乗車大人500円(ほかに入村チケットが必要)




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