社説検証

沖縄知事 玉城氏再選 産経「対立路線の転換を」 朝日「辺野古へのノーだ」

沖縄県知事選で再選を決め、花束を手にする玉城デニー氏 =11日午後8時32分、那覇市
沖縄県知事選で再選を決め、花束を手にする玉城デニー氏 =11日午後8時32分、那覇市

沖縄県知事選は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する現職の玉城デニー氏が、政権与党が推す新人らを破り、再選を果たした。朝日や毎日、東京が辺野古に「NO」を突きつけたと評したのに対し、産経は、尖閣諸島(沖縄県石垣市)や台湾有事など厳しい安全保障環境を背景に、対立路線からの転換を知事に求めた。

当選を決めた玉城氏は「(移設)反対の民意で当選させてもらったのは紛れもない事実」「(移設反対の)県民の声は1ミリもぶれていないという結果だ」と述べた。

朝日は、「沖縄の意思は固い。岸田政権はただちに工事を止め、代替策を探るべきだ」、毎日は、「工事完了は困難であり、計画を見直すべきだ」と、改めて辺野古移設反対論を展開した。東京は、「政府が新基地の完成を強行すれば、県民の不信感を募らせるだけだ。地域住民の理解を前提とする米軍駐留の安定性や持続可能性を保てるのか。中国が軍事的圧力を強め、台湾侵攻の可能性も指摘される中、かえって日米安保の抑止力を損なうことにならないか」と指摘した。

ただし、米軍基地をどこに設けるかという判断は、国の専権事項である安全保障政策に属する。知事にも知事選にもその権能は与えられていない。松野博一官房長官は12日の記者会見で「日米同盟の抑止力の維持と、普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策だ」と述べ、移設工事を進める方針を強調した。

産経は政府方針を「妥当」とし、「普天間基地周辺に暮らす県民の安全と、中国などの脅威から沖縄を含む日本を守り抜くために、辺野古移設が求められている。玉城氏は移設をめぐる国との対立路線を転換すべきである。国と与党は移設の意義を丁寧に説明する必要がある」と説いた。

読売は、玉城氏の辺野古反対一辺倒の姿勢を批判した。「住宅や学校に囲まれた普天間飛行場は、『世界で最も危険な米軍基地』とまで言われている。玉城氏は、どう普天間の危険性を除去するつもりなのか、現実的な打開策を示すべきだ」と注文を付けた。「米軍施設の移設問題を巡り、国と不毛な対立を続けているだけでは、県全体の発展にはつながるまい。知事は大局的な観点から、事態打開の道を探るべきだ」とし、その上で、「知事は政府と協力し、県の将来展望を明確に示す責任がある」と、やはり対立路線からの転換を求めた。

中国の軍事的脅威が強まり、日本、とりわけ沖縄を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。だが、今回の知事選で、辺野古移設以外の、県民の安全保障に関わるテーマはほとんど論じられず、産経は「極めて残念である」と指摘した。「台湾有事では、沖縄へ難民が逃れてきたり、先島諸島の住民が避難を迫られたりするかもしれない。沖縄本島がミサイルなどで攻撃される恐れもある」とし、「安全保障は相手のある話だ。日本がいくら平和を望んでも、相手国が構わず侵略してくるかもしれない」と厳しい見方を示した。

日経は「7月の参院選に続き、安全保障への関心の高まりが追い風になるとの政府・与党の期待は空振りに終わった」と総括した。「安全保障論議で脅威を声高に唱えれば民意はついてくると考えるのは早計だ。政府は年末にかけて関連3文書の見直しや防衛費増額を進めているが、検討している反撃能力の保持は専守防衛など憲法論議にかかわる。丁寧に理解を求める手続きが欠かせない」と強調した。

国内にある米軍施設の7割が沖縄に集中している。知事選の結果いかんにかかわらず、負担軽減に向けた取り組みが必要なのは言うまでもない。(内畠嗣雅)

沖縄県知事再選をめぐる主な社説

【産経】

・国と協力して県政運営を

【朝日】

・県民の意思は明らかだ

【毎日】

・国は「アメとムチ」脱却を

【読売】

・不毛な対立を国と続けるのか

【日経】

・安保論議へ沖縄の民意は重い

【東京】

・民意と誠実に向き合え

(いずれも9月13日付)

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