主張

首相が国連演説へ 中露対処への意思明確に

国連総会で加盟国首脳らが外交理念や戦略を表明する一般討論演説が20日から始まり、岸田文雄首相も演壇に立つ。

首相には、日本が自由や民主主義、法の支配といった理念を重視する立場から、ロシアや中国が揺るがす国際秩序の回復に積極的に関与し、具体的行動で対処していく意思を明確に示してもらいたい。

国連総会での本格的な首脳の対面外交は3年ぶりである。焦点はロシアのウクライナ侵略だ。市民への無差別攻撃やエネルギー・食料の供給を「人質」とする卑劣な手法は容認できない。国際社会は総会でロシアの暴挙を押し戻す足がかりをつかみたい。

岸田首相がその点での貢献を約束すべきはもちろんだ。同時に世界に訴えるべきことは東アジア情勢の厳しさである。「ウクライナは明日の東アジア」という眼前の脅威への認識を国際社会と共有できるかが問われよう。

特に中国の覇権主義的な振る舞いは深刻である。中国は、世界の目がウクライナにくぎ付けになっている最中も南太平洋やインド洋などで軍事拠点づくりを進め、台湾併吞(へいどん)への野心も隠さない。

8月にペロシ米下院議長が台湾を訪問すると、中国は周辺で大規模な軍事演習を実施し、弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)にも着弾した。首相は中国の軍事的脅威の高まりに備えるよう世界に呼びかけるべきだ。

その前提として、日本自らが防衛力整備や日米同盟で抑止力を高める努力は欠かせない。同盟・友邦諸国との首脳会談などでも日本の取り組みへの理解と協力を得るよう働きかけるべきである。

北朝鮮の核・ミサイルも東アジアの重大な脅威だ。見過ごせないのは、中露や北朝鮮といった「無法国家」が結託を強めていることである。これを断固、阻止しなければならない。拉致問題を繰り返し訴えるべきは当然である。

国連の根本的な問題は、自らに不都合な国際ルールを気にもとめない中露が、平和の守護者であるべき安全保障理事会の常任理事国であることだ。このためウクライナ侵略でもなすすべがなく、安保理の無力さが露呈した。

日本は来年から、安保理で2年任期の非常任理事国を務める。総会を機に、首相は喫緊の課題である安保理改革についても主体的に関わる姿勢を訴えてほしい。

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