主張

敬老の日 高齢者の笑顔輝く社会に

敬老の日発祥の地とされる兵庫県多可(たか)町(旧野間谷村)が昭和22年9月15日を「としよりの日」とし、初めて敬老会を開いてから、今年で75年になる。

その後、41年に国民の祝日に、さらに法改正で平成15年から9月の第3月曜日に移ったが、高齢者を敬愛し長寿を祝う精神は変わらない。毎年その思いを新たにしていきたい。

同町によると、子供を亡くした人もあった戦後の動乱期に、お年寄りの知識や人生経験を伝授してもらおうという意図があったそうだ。当時、9月中旬は、農作業も一段落した時期だった。自動三輪車で会場に送迎し、余興などでもてなしたという。

年配者を敬い大切にする慣習は古来、日本の美徳だろう。

今年の総務省の推計によると国の総人口は前年比で82万人減ったが、65歳以上の高齢者は15日現在で6万人増えて3627万人だった。総人口に占める割合も増え、29・1%と過去最高である。

内訳を詳しくみると、75歳以上の割合が初めて全体の15%を超えた。いわゆる団塊の世代(昭和22~24年生まれ)が75歳を迎え始めたためで、くしくも多可町で始まった敬老の日の歴史とその歳月を同じくしている。

元気な高齢者のお手本ともいえる存在で、先日亡くなった英国のエリザベス女王(エリザベス2世)の結婚がこの年だった。長男のチャールズ新国王が生まれたのは翌年で、日本でいえば団塊の世代にあたる。高齢での即位だが、母君のように、健康で長く君主の務めを果たしていただきたい。

では、女王の長寿の秘訣(ひけつ)はどこにあったのか。その第一は、いくつになってもユーモアを忘れない心の持ちようではなかったか。

女王は亡くなる直前まで前向きにさまざまな物事に取り組んでいた。バランスのとれた心身の健康こそ長生きに欠かせない。そのためには生きがいを持ち、社会とかかわり続けることが大切だ。

統計では昨年の高齢者就業者数は比較が可能な昭和43年以降で18年連続で増え、909万人と過去最多だった。収入のためもあろうが、よりよく生きるためには、はりのある生活が不可欠だ。政府も高齢者一人一人がマイペースで働ける環境を充実させてほしい。

目指すのは、女王のような笑顔が輝く高齢社会である。

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