「迷わず死刑に」裁判長無視の被告に遺族の怒号…大阪・パブ経営女性殺害初公判

初公判後、会見を行う遺族の稲田雄介さん=16日午後、大阪市北区(須谷友郁撮影)
初公判後、会見を行う遺族の稲田雄介さん=16日午後、大阪市北区(須谷友郁撮影)

大阪市北区のカラオケパブ「ごまちゃん」で昨年6月、オーナーの稲田真優子(まゆこ)さん=当時(25)=を殺害したとして、殺人罪に問われた宮本浩志被告(57)の裁判員裁判初公判が16日、大阪地裁(大寄淳裁判長)で開かれた。「判決は死刑をお願いします」。証言台に立った被告は冒頭、極刑を求めながら、裁判官からの質問には終始、不遜な態度を取り続けた。殺害の有力証拠は、被告の靴に付着した稲田さんの血痕といった状況証拠のみ。弁護側は無罪を主張しており、この日法廷で被告が何を語るかに注目が集まっていた。

「死刑を」と懇願も認否黙秘 常連客の被告初公判

遺族「謝罪しないと意味がない」被告の態度に怒り

《髪を短く刈り上げメガネとマスクを着用、黒中心のTシャツに長ズボン、サンダル姿で入廷した被告。被害者参加制度で検察官側の席に座った稲田さんの母親と兄が見つめる中、裁判長が口を開いた》

--名前を言ってください

被告(せき払いをした後、無言)

--名前を言ってください

被告(無言)

《稲田さんの兄は思わず「聞こえんのか」と怒号を飛ばす。しかし、被告は生年月日の問いかけにも答えない》

--本籍・住所は述べるつもりはないですか

被告「現住所は大阪拘置所です。これって何か意味ありますか。儀礼的なことだったら抜いてください」

--規則なのでお聞きしています

《被告の弁護人が証言台に近づき、被告に何かを説明。再び裁判長が質問を始めた》

--名前を言ってください

被告「(起訴状に)記載されている通りです」

--生年月日もそうですか

被告「そうだと思います」

《検察官が起訴状を読み上げ、裁判長がその内容の認否を尋ねると、被告は突如冗舌になった》

被告「裁判員の方にお願いします。判決は死刑をお願いします。検察官には、被害者家族の意思をくみ、死刑を求刑していただきたいと思います」

《被告の主張は続く》

被告「私はいかなる、どなたからの質問も答える気はありません。弁護人には反論、反対尋問は一切しないようにと伝えています。速やかな審理をお願いします。私に確認する必要はありません。しゃべりたい時には手を挙げて意思表示します」

《一方、弁護側は被告が犯人か否かという「犯人性」を争うと主張。すると被告は「1つ忘れていました」と再び口を開いた》

被告「裁判員の方にお願いします。私は判決に従うつもりです。上訴することはありません。迷わずに死刑判決をお願いします」

《検察側は起訴内容の認否を述べていないと指摘し、裁判長が質問する》

--認める認めないについては、お話しされますか

被告(無言)

--先ほど述べたこと以上に、お話しすることはないということですか

被告(無言)

《その後、被告は口を開くことなく休廷。会見を開いた稲田さんの兄、雄介さん(30)は、「(被告が)死刑になろうが懲役だろうが、自供して、反省して、謝罪して後悔しないと意味がない」と憤り、「本当は石の1つでもぶつけてやりたい気持ち。真優子のために何もできない自分が無力です」と声を絞り出した》

《公判は計8回の期日が設定されており、10月20日に判決が言い渡される》

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