主張

独のエネ政策 脱原発の本格的見直しを

世界的なエネルギー危機に対応し、ドイツが今年末で運転を停止する予定だった原発を来年4月まで暫定的に存続させる方針を決めた。

ロシアは欧州向けの天然ガス供給を大幅に削減しており、ドイツなど欧州各国では今冬に深刻なガス不足が懸念されている。このためドイツは国策としてきた「脱原発」を一部見直し、2基の原発を予備電源として運転できる状態で維持する。

原発をめぐっては、欧州を中心に脱炭素電源として再評価する動きが広がっている。原発を活用すれば、それだけ火力発電用の天然ガス使用を減らし、ロシア産資源への依存度も低減できる。

ドイツは今こそ脱原発政策を全面的に見直し、4月以降も原発活用を決断すべきだ。自国の電力安定供給を確保するだけでなく、欧州全体のエネルギー安全保障の確立にも努めてほしい。

メルケル前首相は、2011年3月の東京電力福島第1原発事故を受けて脱原発の政策を掲げ、22年末を期限とする国内全原発の運転停止を決めた。ドイツ国内では当時、17基の原発があったが、段階的な廃止を進めてきた。

昨年、首相に就任したショルツ氏もこの路線を継承し、昨年末には6基残っていた原発のうち、3基の稼働を停止した。

だが、ロシアからの天然ガス供給が大幅に削減され、冬場のガス不足懸念が強まったため、2基の原発は来春まで存続させるとした。当然の判断である。

当面残す原発は送電網から切り離し、万一に備えた予備電源と位置付ける。ただドイツではガス価格の高騰と品不足懸念から、すでに工場の一部が操業を停止するなど、深刻な影響が出始めている。エネルギー危機を乗り切るためには来春以降も原発を本格活用して電力供給に万全を期すべきだ。

欧米各国では燃料価格の高騰に対応し、エネルギー安全保障を強化するため、原発活用を進めている。英仏は原発の新設を決め、米国は原発の運転期間を80年まで延ばすための支援も始めた。

日本でも岸田文雄首相がこれまでの原発政策を見直し、原発の活用に向けて次世代原発の新増設などを検討するように指示した。

原発を最大限活用するため、新増設や建て替えだけでなく、既存原発の早期再稼働も政府が主導すべきである。

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