日米同盟を双務性の集団防衛体制に 仙台「正論」懇話会、織田邦男氏講演要旨

仙台「正論」懇話会第67回講演会で講演する元空将で麗澤大特別教授の織田邦男氏=9月15日、仙台市青葉区のホテルメトロポリタン仙台(奥原慎平撮影)
仙台「正論」懇話会第67回講演会で講演する元空将で麗澤大特別教授の織田邦男氏=9月15日、仙台市青葉区のホテルメトロポリタン仙台(奥原慎平撮影)

仙台市青葉区のホテルメトロポリタン仙台で15日開かれた仙台「正論」懇話会の第67回講演会で、元空将で麗澤大特別教授の織田邦男氏が「ウクライナ侵略戦争と日本の課題」と題し、安全保障政策に関するウクライナとの共通点を教訓に、中国やロシア、北朝鮮による侵略を防ぐため日本が進むべき方向性について熱弁をふるった。講演の要旨は次の通り。

力のない外交は無力

ロシアによるウクライナ侵略戦争から日本は何を学び、どうすべきか。この戦争から見えてきたのは、国連常任理事国が行う「力による現状変更」は阻止不能という事実だ。国連は全く無力で、力のない外交も無力だ。ウクライナのゼレンスキー大統領は戦争勃発10日前の2月14日に「われわれは平和を目指し、全ての問題に交渉のみで対処することを望んでいる」と外交で解決する考えを示した。しかし、軍事力が背景にあってこその外交だ。

1994年にウクライナが保有する核の放棄と引き換えに同国の安全を保障する「ブダペスト覚書」を米英露との間で結んだ。もし、ウクライナが放棄した1240発の核のうち10発でも保有していたら、ロシアのプーチン大統領は侵攻しなかっただろう。

日本は「非核五原則」

ウクライナと日本の共通点は「非核三原則」だ。ウクライナはブダペスト覚書により核を放棄し、「持たず、作らず、使用せず」の原則を堅持した。日本は「使用せず」の部分が「持ち込ませず」だ。岸田文雄首相は「被爆地・広島の出身だから非核三原則は厳守する」といっている。だが、非核三原則の順守を目的とするのではなく、核から国民をいかに守るかを議論すべきだ。核について、日本では「考えない」「議論もしない」を加えた「非核五原則」となっている。

専守防衛も共通している。専守防衛は国民に被害が出ることを前提としている。そうなると戦争抑止が絶対条件となり、強力な軍事力と巧みな外交で抑止しなければならない。ところが日本の防衛の基本政策は他国に脅威を与えるような強大な軍事力を保持しないとしている。論理矛盾だ。相手が組みやすしと思えば、抑止は効かない。

集団防衛への参加を

集団防衛体制への不参加も共通点だ。日米同盟は集団防衛体制ではない。北大西洋条約機構(NATO)のように加盟国への攻撃に対する自動参戦ではない。日米同盟があるから米国が自動的に日本を助けてくれると考えるのは間違いだ。

日本は中国、ロシア、北朝鮮による侵略を未然に防止しなければならない。そのためには日米同盟を集団防衛体制に格上げし、双務性にすべきだ。米国、英国、豪州によるインド太平洋地域の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に加盟することも必要だ。NATOとも連携し、日本が攻撃されたら全世界が立ち上がるような態勢にしないと安全を保てない。

■おりた・くにお 昭和27年、愛媛県生まれ。49年に防衛大学校を卒業後、航空自衛隊に入り、F4戦闘機パイロットなどを経て米空軍大学に留学。米スタンフォード大客員研究員、第6航空団司令、航空幕僚監部防衛部長などの要職を歴任し、平成17年に空将に昇任。18年に航空支援集団司令官に就き、イラク派遣航空部隊指揮官を務めた。平成21年に退官。東洋学園大客員教授を経て、今春から麗澤大特別教授。瑞宝中綬章を今春受章。

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