来店人数と感染数相関は? 問われるウィズコロナ政策

新型コロナウイルスの新規感染者数が全国的に減少し、流行「第7波」が落ち着きを見せているなか、飲食店への営業自粛要請をはじめとしたこれまでの感染防止策について、効果を検証すべきだとの声が上がっている。コロナ禍で疲弊した社会経済活動の正常化を進め、感染を防ぐ的確な政策を打つためにも必要な手続きといえそうだ。(大竹直樹)

飲食店に予約システムを提供するテーブルチェック(東京)が全国約6300店舗の1日の平均来店客数を週ごとに調べたところ、9月5日の週は4週間ぶりに増加に転じ、1店舗当たり33・3人と前週比で3・4%上昇した。今月のシルバーウイークには客足がさらに伸びる見込みという。

「来店人数と新規感染者数に相関関係はないといえる」。同社の谷口優(ゆう)社長はこう話す。例えば5月2日の週に平均48・4人とコロナ禍で最高を記録する一方、新規感染者数はその後5週連続で減少していた。

田村憲久厚生労働相(当時)は昨年6月、「酒類の提供と感染者数に相関関係があるのは間違いない」として自粛を求めたが、谷口社長は「データに基づけば、緊急事態宣言や蔓延(まんえん)防止等重点措置は飲食業界にダメージを与えただけだといえる」と話す。

週末でにぎわう渋谷の飲食店街=16日午後、東京都渋谷区の「渋谷横丁」(飯田英男撮影)
週末でにぎわう渋谷の飲食店街=16日午後、東京都渋谷区の「渋谷横丁」(飯田英男撮影)

コロナ禍で打撃を受けたのは旅行業界も同じだ。今年1月にも再開予定だった観光支援策「Go To トラベル」も感染者の急増でスタート直前に延期を余儀なくされた。旅行客らの往来が活発化したことで各地で感染拡大を招いたとの声も根強かった。航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏は「今年の夏は明らかに人流が増え、観光地の人出も多かった。だが重症者はそれほど増えておらず、相関関係がどこまであるのか」と指摘する。

政府は水際対策を緩和し、1日当たり5万人としている入国者数の上限を10月にも撤廃する方向で調整に入った。個人旅行の解禁も検討されている。

関西福祉大の勝田吉彰教授(渡航医学)は「さまざまな制限を緩和するにしても、飛沫(ひまつ)防止や換気など、あらゆる場面で基本的な対策を継続していくことが重要だ」と強調。インバウンド(訪日外国人客)の増加や冬に想定される「第8波」、インフルエンザの流行に備え、医療体制の拡充を訴える。

「終わりが視野には入ってきた」。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は14日、新型コロナのパンデミック(世界的流行)についてこう述べた。欧米では新型コロナとの共存を目指し危機水準をパンデミックから「エンデミック」(地域的流行)に引き下げる動きも目立つ。

ニッセイ基礎研究所主任研究員の佐久間誠氏は「エビデンス(科学的根拠)に基づきコロナと共存する政策を検証し、日本もコロナ後を見据えて前へ進む時期に来ている」と指摘する。

ワクチン接種も進み過度な自粛は必要なくなった。社会経済活動との両立を図るためにも、感染対策は継続しつつ、コロナと共存する道を模索する「ウィズコロナ」のあり方が問われている。

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