海底のレクイエム

ガダルカナル島のB-17E爆撃機

ボーイングB-17は1936年に初飛行したアメリカ陸軍の重爆撃機で、愛称「フライングフォートレス(空飛ぶ要塞)」と呼ばれていた。その名にふさわしく強力な防御力と約5トンの爆弾を搭載、来襲する戦闘機を寄せつかない12.7ミリ重機関銃座を備え、零戦でも苦戦する性能の機体として太平洋ならびにヨーロッパの戦略爆撃などに使用された

左後方から見たB-17の前部胴体と胴体上部に設置された動力銃座。E型は、武装が大幅に強化された型で、この動力銃座に加え、胴体下にも動力銃座を備えていた(戸村裕行撮影、2017年6月)
左後方から見たB-17の前部胴体と胴体上部に設置された動力銃座。E型は、武装が大幅に強化された型で、この動力銃座に加え、胴体下にも動力銃座を備えていた(戸村裕行撮影、2017年6月)

ソロモン諸島、ガダルカナル島の中心地ホニアラからほど近く、水深15メートルほどの浅い場所に眠るアメリカ陸軍・ボーイングB-17Eフライングフォートレス。

このB-17Eは、第11爆撃航空軍・第42爆撃飛行隊所属のS/N 41-2420「Bessie The Jap Basher」であることが分かっている。

昭和17(1942)年9月24日にガダルカナル島ヘンダーソン基地からショートランド泊地の船舶に攻撃を実施したが、「神川丸」の二式水上戦闘機と「山陽丸」「讃岐丸」「千歳」の零式観測機に邀撃(ようげき)され、撃墜されることは免れたものの、この場所に不時着水した。

胴体後部は、米軍が調査のために1944年1月に引き揚げており、現在は、前部胴体と主翼部分だけが残っている。

左主翼の内側に位置するプロペラと発動機。プロペラは、直径3.53メートルのハミルトンスタンダード製三翅である(戸村裕行撮影、2017年6月)
左主翼の内側に位置するプロペラと発動機。プロペラは、直径3.53メートルのハミルトンスタンダード製三翅である(戸村裕行撮影、2017年6月)
動力銃座はスペリー社製のもので、ブローニング12.7ミリ重機関銃を2梃搭載する強力なものだった(戸村裕行撮影、2017年6月)
動力銃座はスペリー社製のもので、ブローニング12.7ミリ重機関銃を2梃搭載する強力なものだった(戸村裕行撮影、2017年6月)
右主翼のエンジンナセル周辺で、エンジンは両方とも脱落している(戸村裕行撮影、2017年6月)
右主翼のエンジンナセル周辺で、エンジンは両方とも脱落している(戸村裕行撮影、2017年6月)
副操縦士席前にあった計器板の一部。いくつかの計器はまだ残っている(戸村裕行撮影、2017年6月)
副操縦士席前にあった計器板の一部。いくつかの計器はまだ残っている(戸村裕行撮影、2017年6月)

(取材協力 ダイビングサービス「トレジャーズ」)

水中写真家・戸村裕行

1982年、埼玉県生まれ。海底に眠る過去の大戦に起因する艦船や航空機などの撮影をライフワークとし、ミリタリー総合誌月刊『丸』にて連載を担当。それらを題材にした写真展「群青の追憶」を靖國神社遊就館を筆頭に日本各地で開催。主な著書に『蒼海の碑銘』。講演、執筆多数。

雑誌「丸」
昭和23年創刊、平成30年に70周年迎えた日本の代表的軍事雑誌。旧陸海軍の軍 艦、軍用機から各国の最新軍事情報、自衛隊、各種兵器のメカニズムなど幅広 い話題を扱う。発行元の潮書房光人新社は29年から産経新聞グループとなった 。毎月25日発売。

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