中華人民共和国が1949年に成立した直後、ローマ教皇庁(バチカン)公使が中国共産党政権の早期崩壊を予測していたことが13日、分かった。バチカンは国家承認せず、つながりのあった中華民国(台湾)との外交関係を維持し「中国唯一の政府」と見なした。バチカン公文書館に保管されている52年の機密文書で判明した。
バチカンは現在、欧州で唯一台湾と外交関係を持ち、中国との国交はない。バチカンが70年前に中国より台湾を優先するとの判断に至った背景が明らかになった。
文書は、駐中華民国の教皇公使として南京に派遣されたアントニオ・リベリ大司教がバチカン幹部に宛てた12ページの報告書。「フォルモサとの外交関係再開」と題しイタリア語で書かれている。フォルモサは台湾を指す。52年7月22日付だった。リベリ氏は、中華民国の国民党政権が49年に共産党との内戦に敗れ台湾に逃れた後も南京にとどまっていたが、51年に共産党政権により南京を追放された。報告書は当時、拠点としていた香港から出されていた。(共同)